10/15(Mon) 18:47
暗さと重さと自意識
人力飛行機
昔 或る才人にこう言われたことがある
「あなたは全部はったりだ」と。
そのときはムッとしたが、今考えると当たっていると思える。
しかし、私にあった困難は、私には視えてはいなかった。
私の世界は、私には近すぎる故、私には視えない。
そのことを私はハイデッガーから教わった。
しかし、私にあった世界を今見つめ直すと、
私の困難は私を押し潰さなかったのが不思議で、
私の本当の真価は、
私の世界に私が押し潰されなかったことにある。
私とは、私への否定的自意識に等しかった。
その否定的自意識は、私に重なるが故に
私には視えてはいなくて
ただ 私の世界が 私にとって何故にこうまで否定的で、
私を肯定しないのか
そのことの理屈抜きの暗さが
それこそが私だった。
そのことにまつわる果てしない暗さと重さは
才人には伝えようもなく、その凄惨さに比べれば
才人の文学的感性など幸せにもみえる。
人の持って生まれた悲惨さ凄惨さ。
伝える術もない苦しい運命。
ただ変えようもない自意識が、それが私なのだった。
三島由紀夫の死にもまたその問題はあるに違いない。
2018.10.15
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