novel1-2

□St.Valentine(Jan side)
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リザ、もう買ってくれてるかな。
毎日さりげなく顔合わせてるけど、実は陰でバッチリ用意してくれてたりして。
いや、若しくは手作りとか?

14日はお互い仕事だけど、どうやって手渡してくれるんだろう?
勤務中はないよな、リザの性格からして。

『ハボック少尉、どうかなさったんですか?』

斜向かいからフュリーが怪訝な顔付きで尋ねて来た。
よほどオレが腑抜けな顔でぼんやり空一点を見つめていたようだ。

オレは慌てて机に広げていた書類に目をやった。

その時突然、背後のドアが開いて入って来たのは大将だった。
大将は入って来てすぐに立ち止まり、部屋の中をキョロキョロと誰かを探しているように見回した。
誰かと聞かなくても、あの人なんだろうけど。
オレと同じことを察したようでフュリーが声をかけた。

『エドワード君、大佐なら執務室だよ』

しかし、大将は少し困った顔をして首を振って返した。

『なぁ、中尉どこ?』

この時期、大将が大佐でなくリザに何の用があるんだろう?
オレはタバコに火をつけながら答えた。

『大佐の執務室。すぐに帰ってくると思うんだけどなぁ』

すると大将はふーんと小さく唸った。
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