【 帰り道 ver.幸村 】



学校からの帰り道、幸村くんの部活が終わるのを待っていたらすっかり陽もくれて当たりは暗かった

街灯の光が辺りをぼんやりと照らす

吹き付ける風は冬の物と変わらないくらい冷たい

『さっむいねー』

「本当に、耐えられたものじゃないよ」

小さく震えながらマフラーに顔を埋める幸村くん

私より寒がりな幸村くんは末端冷え性なんだそうだ

『あ、自販機』

「あったかい物買おう、買って」

『はいはい』

ポケットに入れた手を出すのも嫌らしい幸村くんの為に飲み物を買ってあげる

『はい、どうぞ』

買ったばかりのコンポタを幸村くんに渡す

「有難う、お金は明日渡すよ」

『はいはい』

あちあちと言いながら缶を手の平で弄ぶ幸村くんはなんだか可愛い

(でも王者立海大をまとめてるのがこの人なんだよねぇ…)

 
そんな事を考えていると幸村くんの手が私の頬に触れた

『どうしたの?』

「あったかいだろ?」

そう言ってにこにこと笑う幸村くんの手はコンポタによってあたためられ、ほのかにぬくもりを感じる

『ん、あったかーい』

つられてにこにこしてしまう

寒い冬もこうして2人でいれば心もほかほかなんだろうな、なんて思って、上がった口角がしばらく下がらなかった

「さぁ、帰ろうか」

さり気なく私の手を取って歩き出す

『…!うんっ』

嬉しくてぎゅっとその手を握り返した

これから2人のあったかな冬がやってくる







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2009/11/07 相馬






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