【オハナシ】

□Sweets
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今日の女子はいい匂いがする。

本日最後の授業は調理実習だったらしい。
男子が帰り支度を始めた頃、遅れて移動教室から帰ってきた女子達は、皆が皆その手に白い紙袋を持っていた。

いい匂いはそこから漂ってくる。中身はどうやら洋菓子系のようだ。

「こんな時マンガなら、『浅野君、これ食べてくれる?実は私、あなたの事が…』なんてコトになるんだよな♪」
などと無駄に浮かれてるヤツもいるが、現実はそんなに甘くない。

放課後なのを良いことに、女性陣は仲良しグループで机を固め、自販機でジュースを買い。
今しがた自分達が作ったばかりのお菓子を囲んで、お茶会に突入した。


彼女達が紙袋から取り出したのは、シュークリームだ。

「育ち盛り食べ盛り」の野郎共の腹が鳴る。

しかし、食べれない物を何時までも眺めていても虚しくなるだけだ。
諦めた男子達は、部活へ、或いは家へと向かう為教室を出ていった。


──一護はそういう事に興味がない。

いや、なかった。……この間までは。


今回だって、別に誰かが1個くらい分けてくれないかとか、そんな事はどうでもよくて。

ただ、気になるのは。

……「あいつ」が俺の見ていない所で大ポカやらかしてねぇだろうな、とか。

……そもそも、「あいつ」に料理なんて出来んのか?とか。

……「あいつ」の作った物ってどんな味がするんだろう…、とか……。
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