【オハナシ】

□星に願いを
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『──願い事を、3回』


   *   *

虚退治帰りの午前2時。

住宅街の灯りは消えて静まり返り、空には星が瞬いている。


(あー…。早く帰って寝ないと、明日辛いな…)

そんな事を考えながら、一護が歩いていると。

「なぁ、一護」

すぐ横を歩いていたルキアが急に立ち止まり、声をかけてきた。
周囲の静寂を破らぬよう、小さく抑えた声で。

見れば、彼女は空を指差しながら不思議そうに尋ねる。

「前々から気になっていたのだが、あれは流れ星なのか?」


彼女の指先を辿って行けば、暗い空には。
等間隔で点滅を繰り返しながら、ゆっくりと水平移動をしていく小さな光。


「……ハズレ。ありゃあ飛行機のライトだよ」

一護に教えられると、

「ヒコーキ?……あぁ!あの空を飛ぶ鉄の塊か!!」

合点がいったらしく、ルキアはポンと手を打った。


「現世の流れ星は随分変わっていると思っていたが、やはり違ったのか」

「何だ、ソウル・ソサエティにも流れ星ってあるのか?」

「あるぞ。昔何度か見た事がある。……ああ、でも…」

ルキアは、夜空を仰ぐ。

「こっちの流れ星は、まだ見た事が無いな…」


そう言って彼女は、ずっと星空を眺めていた。
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