【オハナシ】
□COLORS
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華やかな色の傘が好き
まるで、魔法のようだから
C O L O R S
「ルキア……お前が急なトラブルでこの世界に居るのも、
だから日用品なんて持ち合わせちゃいないのも、俺は十分分かってるつもりだがな…」
「…?何だ、一護。渋い顔をして」
「その傘は止めろ!!その傘は!!!!
デカい字で『浦原商店』なんて書いてある傘なんかさして、学校に来るんじゃねぇ!!」
「何を言う。あの強欲商人がタダでくれたのだ。貴重品だぞ」
「貴重なもんか!!大体、今時の女子高生がそんな傘さしてたら恥ずかしいんだよ!!」
「そ、そうなのか!?…しかし、私はこれしか傘が無いのだ」
「──仕方ねぇなぁ。学校終わったら店に行くぞ。好きな傘買ってやる」
「ほ、本当か!!」
また雨が降り出す。
辺りを包み込む雨音。暗く沈んでいく街並み。
急速に色を失っていく世界を、まるで救うように。
青空の代わりに、青い傘が。
木漏れ日の代わりに、黄色い傘が。
新緑の代わりに、緑の傘が。
まるで、世界を救う魔法のように。