【オハナシ】

□日曜日、午前9時。
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暑くもなく、寒くもなく。
しかも天気は快晴。窓の外では鳥のさえずり。

とにかく、気持ちの良い朝だった。

学校も休みで、精神的な焦りも無く。
だから、ついうっかり寝過ごしてしまったのだ。


   *   *


「お兄ちゃん!!まだ寝てるの!?」


勢いよくドアが開く音と、遊子の大声。

俺は、それに驚いて目を覚ました。


「?」

いきなりの覚醒に、頭がついていかない。ほんの少し、ボーっとしてしまった。

だが次の瞬間。

「!!!!」

俺は現状を理解すると、慌ててベッドに起き上がる。


「遊子!!ノックもせずに開けるなって言ってるだろ!!!!」

室内に踏み込もうとする遊子を牽制するため、わざと荒い声を出す。
悪いとは思ったが、仕方がない。

「ちゃんとノックしたよぉ。でも返事ないんだもん。
お兄ちゃんが寝てたから聞こえなかったんでしょう!?」

予想通り、遊子は俺の声に驚いて戸口で立ち止まると、少し不機嫌そうにそう言った。


「せっかく良いお天気で、お布団干すのに最高なのに。
こんな日に限っていつまでも寝てるんだもん」

「布団?それくらい、いちいち言わなくたって自分でやるよ」

「そんな事言って、あたしが起こさなきゃまだ寝てたじゃない。
お布団は空気のキレイな午前中に干さなきゃダメなんだよ」

「分かった分かった、今からやるって」


おざなりな返事をしながら、俺は内心ものすごく焦っていた。
どうでもいいから、とにかく早く立ち去って欲しい。
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