【オダイ】
□甘い、苦い、甘い。
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どうして、よりによって今日ケンカをしてしまったのか。
……原因なんてとても些細な事だったのに。
お互い意地を張り合って、悪化して。
目も合わせず。口もきかず。
当然、チョコなど渡せぬ雰囲気のまま放課後になり。
周囲でクラスメイト達が繰り広げるチョコのやりとりが更にルキアを腹立たせて、
逃げるように大急ぎで帰ってきたのだ。
「姐さん?どうしたんスか?」
鞄を覗いたまま立ち尽くすルキアに、コンが声をかけた時──。
「もう知らぬ!!一護になどやらぬわ!!!!」
いきなりルキアは叫ぶと、乱暴に鞄から箱を取り出した。
そのまま包装紙を破り、蓋を開ける。
小さな可愛いチョコがいくつも並んでいる。
……一護のために買った、チョコレート。
「え?ね、姐さん一体……」
慌てるコンの声など全く無視して、ルキアはチョコのひとつを手に取ると自分の口に放り込む。
途端。
「──!!苦い……」
口を押さえて、ルキアは言った。
「苦い?ビターチョコなんスか?」
コンが言いながら近付いて来る。