ドラえもんは21世紀に帰ると、真っ先にリサイクルショップへ向かった。

「いらっしゃ〜い。」

無愛想なロボットの店員がドラえもんを迎えた。

「これ全部売りたいんだ。」
「全部????」
「そう。全部だ。」
「本当にいいんですね?」
「はやくしろっ!」

ドラえもんは何と、4次元ポケットの中の道具を全部売り払ってしまった。
額にすると、どこかの惑星を1つまるごと買えるぐらいの金額だ。

「ありがとうございました。2.68秒後に、あなたの電子マネーの口座に全額振り込まれます。」
「またのお越しをおまちしております。」

それを聞かない内に、ドラえもんは店を飛び出していた。
のび太くんを絶対に助けてみせる。。。。ドラえもんの頭は、その事でいっぱいだった。
オーバーヒート寸前だ。
いや、もうすでにドラえもんの内蔵コンピューターは、すでにおかしくなっていたのかもしれない。
ドラえもんは次に、宝石博物館へ向かった。
この時代、ほとんどの宝石は人工的に作られて、
天然の宝石は、莫大な金を積まなければ、手に入れる事は出来なかった。

「いらっしゃいませ」

人間女性型ロボットが迎える。

「ご見学ですか?」
「いや。」
「天然のダイヤで一番大きいのください。」
「少々お待ちください。」

女性ロボットはそう言うと、奥のスタッフルームへ入っていった。
数分後、10人のガードマンロボットを引き連れ、
館長らしき人が出てきた。

「あなたですか?天然の一番大きいダイヤをほしいというお客様ですか。」
「そうです。売ってください。」
「本当ですか?とてもあなたのような方が買える代物ではありませんよ。」

館長は明かにドラえもんの事をバカにしていた。

「お金ならあります。見て下さい。」

そう言うと、ドラえもんはマネーカードのバランスボタンを押し、 残高を館長に見せつけた。

「おおおおおお」
「す、すいませんでした。どこぞの大富豪様にお仕えしているロボットだとは ・・・」
「今すぐそのダイヤをお見せいたしましょう。」

全く、現金なものだ。商人あがりの人はいつもこうである。
館長は奥の金庫から大きな箱を大事そうにかかえ、再びドラえもんの前に現れた。
ゆっくりとその箱を館長が開ける。

「どお〜ですか。この輝き。すばらしいでしぉ。私のコレクションの中では最高です。」

ばかでかいダイヤだ。その大きさはドラえもんのこぶし位ある。

「このお金全部払うから、そのダイヤをください。」
「ぜ・全額いただけるのですか?」
「そうだ。早くして。」
「はいわかりました。」

ドラえもんはダイヤを受け取ると、店を飛び出し、
のび太くんがいる時代へとタイムマシンで再び戻った。
現代で、ドラえもんはダイヤを宝石コレクターに売り、のび太の手術費を作った。
その宝石コレクターの孫が、21世紀で先ほどドラえもんがそのダイヤを購入した
宝石博物館を開く事になるとは、ドラえもんは知るよしもなかった。

第5章に続く


「今夜が山場ですね。手術を行わなければ、命が危ないです。」

先生がママに言った。
ママはその場に崩れ倒れた。
その時である。
バタンッ!
ドアが勢い良く開くとともにドラえもんが、病室に飛び込んできた。

「のび太くん!」
「ドラえもん。こんな時にどこ行ってたんだよ!」
「ごめん。のび太くんの手術費を作る為に、ポケットの中身を全部売ってきたんだ・・・」
「え?本当か?これでのび太は手術できるのか?」
「ママ・・・このお金でのび太くんを助けてあげようよ。」
「ドラちゃん・・・・・・・・・ありがとう・・・・」
「先生。おねがいします。」

迷ってる時間はない。パパは先生に手術をお願いした。

「よし。緊急手術を行う。大至急手術室へ運んで!」

病院内に緊迫した空気が一気に張りつめた。
手術室は1階のB棟だ。
みんなも、意識のないのび太をのせたベットの後を追った。

「全力をつくします。」

ドアが閉められると、
手術中のランプが点灯した。
3時間位たっただろうか・・・。
ママとパパは親戚に連絡をとり、近い所に住む親戚は、もうすでに駆けつけていた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
みんなが驚いた。ジァイアンが突如大声を張り上げたのだ。
近くの看護婦が大声の元を探して、こっちへ来た。

「ここは病院ですよ。他の患者さんも居るんですから、大声ださないでください。」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
「静かにしてください。」
「のび太ががんばってるっていうのに、何もしてやらないのが友達って言えるかっっっっ!!!!」
「のび太は俺様の友達だっ!!! いじめる事もあるが大事な大事な友達なんだっ!!!」
「フレ〜!フレ〜!の・び・太〜!フレッフレッのび太!フレッフレッのび太〜!」

看護婦はジァイアンの迫力に驚いた。
そしてみんなもジャイアンの後に続いた。

「がんばれ〜のび太〜!」
「のび太さん〜。絶対に負けないで〜!」
「がんばれがんばれ のっびっ太!」
「のび太く〜ん。ファイト〜」
「野比〜負けるんじぁないぞ〜!」

みんなの声援は館内中に響きわたった。
看護婦はみんなののび太を思う気持ちに心を打たれたのか、
それ以来無理にやめさせようとはしなかった。

 第6章に続く

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