新旧パプワ夢

□ナヤミ
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「ハァ…。」

自分の部屋に戻った私は、電気もつけずにベッドに倒れこんだ。
あの後の記憶がほとんどない。あいつらとの会話も、訓練の内容も、ちゃんと食べたはずの夕飯のメニューさえ確信がない。
今日初めて女に生まれて…てゆーか、一人部屋で良かったと思った。
マジック総帥がお優しい方で良かった。感謝感謝。
失恋してこんな惨めにウジウジしてる所なんか見られたくないからね…。
訓練生とは言えガンマ団のクセに…ああ、駄目だ悪い事しか考えられない…。

コンコン

ふいに窓を叩く音がした。驚いて音のした窓を見て一瞬息が止まる。
そこには真っ赤な火の玉が浮かんでいたのだ。

「マ、ーカーさん!?」

“火”で一番に思いつくのが、やはりあの人の顔。
がばっと勢いよく起き上がって窓に近づいた。…が、すっと動きを止める。

「………アラシヤマか。」

その名前を口にして、大きな脱力感に襲われる。
マーカーさんならこんなつまんないただの火の玉じゃなくて、蝶を造ってくれるはず。
…あの時みたいに。炎の蝶が自分の周りを舞い踊る光景は夢のように美しかった…。
私が過去の幸せに浸っている間も、火の玉はしつこく窓を叩き続けていた。
一瞬迷ったが、窓を開けて部屋の中にいれてやると真っ直ぐ部屋を飛んで行き、ドアの前で私を待つように留まった。

「……ついて来いってこと?」

もうすぐ消灯時間になる。
もし出歩いているのを教官達に見つかったら、訓練内容倍増かトイレ掃除一ヶ月か…最悪Dr.高松の手伝いかな。
最後の罰で迷わされたが、結局はドアを開けて火の玉と共に部屋を出た。
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