新旧パプワ夢

□ウワキ・後編
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今日も私が想うのはただ一人。
昨日も今日も明日も明後日も………世界滅亡の瞬間にも、きっとあなたを想う。
………てか、絶対。それ以外考える事ない。
こーゆのを“盲目な恋”っていうのかな。
いーじゃない。いーじゃないのよ、“盲目な恋”。
誰がなんと言おうと好きなんだから。愛してるんだから!
だから今この一瞬もあなたの事を考えてる。
だけどあなたは………………………

今、誰を想ってるんですか?





ここはガンマ団士官学校の保健室。
普通なら病人や怪我人が数人いてもいいんだけど…。
なんせ、この部屋を自由に使う人物にビッグな問題があるせい…いや。
おかげというべきか、今は大問題のあるマッドサイエンティストこと、Dr.高松と私しかいない。
カリカリと言うペンを滑らせる音と、ぺラぺラと紙が動く音だけが響く。
しばらく経って、私はファイルを勢いよく閉じた。

「高松〜。書類の整理、終わったよ。」
「え、出来たんですか。」
「…なに、その反応。」
「あなたは体育体系なので内心、やらせても無駄だと思いました。」
「うわ、何それ超失礼。この程度なら出来るわよ!」
「そうですか。なら、こっちもお願いできますか?」
「あ〜…OK。その前にちょい休憩していい?体育体系なもんで、慣れない事すると疲れるの。」
「別に構いません。…が、一応言っておきますけど、次の訓練始まりますよ。」
「知ってる〜。あ、なんか飲んでいい?」
「私にもコーヒーをいれてくれるなら、どうぞ。」

簡単に返事をしてから高松にコーヒーを、自分に紅茶をいれ始める。
うわぁ…。保健室のクセにコーヒーも紅茶も高級品だよ。
ちょっとズルイ…、と思いつつも今はそのズルイのおかげで自分も高級品にありつけるから、黙っておこう。
チラリと高松を見れば、また書類にペンを走らせている。
珍しく真剣なその端正な横顔。
……怪しげな実験以外にちゃんと仕事もやってたんだ。
思わずそんな事を考えてしまったけど、自分の命にかかわるから黙っておこう。

「はい。どーぞ。砂糖とかいれたりする?」
「いえ、いりません。」
「やっぱね。そんな感じ。」
「……ところで、汚物子。また一応、言っておきますが…。」
「なに?」

紅茶を一口口に入れてから聞くと、高松は黙ってドアを指差した。
ドアがどうしたんだ?
そう疑問符を浮かべつつも、ドアにゆっくりと近づいて一気に開けると…。

「どわぁッ!?」
「ぎゃあぁっ!?あ…アラシヤマ!?」

倒れこむように保健室に入ってきたのは……そう、アラシヤマ。
今は見事に床と仲良くしちゃってる。

「ちょっとアラシヤマ〜?何やってんのよ。」
「な…なんでもありまへん!!」
「なんでもなくはないっしょ?もう訓練始まってんのに、なんでこんなとこにいるの。」
「それやったら、汚物子はんだって…。」
「私はおサボだもん!」
「偉そうに言う事やおまへんで。」

どことなく不機嫌そうだったアラシヤマだったけど、話している内にだんだんと呆れに変わっていった。
…それって良かったのか?悪かったのか?
まぁ、別にどっちでもいいけど。
とかなんとか思ってたら……いきなりアラシヤマの顔つきが変わった。
不機嫌MAXスペシャルって感じ。
突然どうしたんだと思いながらアラシヤマの視線の先を見ると…。
優雅にコーヒー飲んでる高松。

「…ドクター。書類の整理なんか他のお人にやらせなはれ。」
「私から頼んだ訳じゃありません。…それは、ずっと盗み聞きしていたんなら知っているでしょう。」

…わ…。アラッシ、こっわぁい☆
いやいや。おふざけナッシングでマジ恐いッスよ、アラシヤマが。
声のトーンが急激ダウン!!スプラ〜〜〜〜〜〜ッシュ・マウンテン!!!!
これぞまさしく、“どす”じゃなくて“ドス”の効いた声!!
…………………………あ。やべぇ、氷河期。
って、そうじゃなくて本気でアラシヤマが恐いって事が言いたいんだよ。
実践訓練やってる時の目………つまり、今にも殺りそうな目に似てる。
ど、どうしよう…。どうしようどうしようどうしよう!?
…と。私はパニくってんのに、高松はため息混じりに返答してるし。
さすが我等が最狂ドクター☆

「せやからって……わてが黙って聞いてれば、お2人でイチャイチャイチャイチャイチャッと!!」

え?イチャついとりましたか、自分ら?
目で高松にそう問うと、肩を少し上げて『さぁ』とジェスチャーしてくれた。
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