新旧パプワ夢

□イドウ
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「…っと。で、これでいいのか?」
「はい。隊長の直筆のサインさえあれば、こっちのモン。私の記入もれもないし…。あとは持って行くだけ。フフフ…。」
「んじゃ。受理されたらまた来いよ。オレも楽しみに待ってるぜ、ルーキー。」


へっへっへっへ〜vv
手に持った封筒を見ると、ついつい顔がニヤけちゃう。
思えばこの数ヶ月…もどかしくて、もどかしくて…仕方がなかった…。
だけど、ついに時は来たのよ!!
私の…訓練生時代からの夢だった…この野望がぁぁぁぁぁああ!!!!!!!

「汚物子。」
「ひィッい!?」

びっっっっきゅりしたッッッッ!!!!!!
思わず変な悲鳴ってか、鳴き声出しちゃったし…。
ヤバイ……まだここは獅子舞の部屋を出てまだ数m…油断しちゃいけなかったのに、喜びのあまりつい…。
よりにもよって、今一番会わないようにしてた人に会っちゃった。
その人は尋常じゃない私の驚きように、逆に驚いていた。
いつもは無表情で冷血なイメージを与える顔に驚きの色を浮かべるのは…私の愛しい方vマーカーさん。

「な…どうした?」
「あ、いっいいえ!!なんでもありません!!ただ、驚いただけで…。」
「それにしても驚きすぎだろう。………まさか、隊長の部屋で何かあったのか!?」

げっ…。獅子舞の部屋から出てきたのも見られてたか…。
私の事を気遣ってくれるのは、この上なく嬉しい…嬉しいけど…っ!!
今この一瞬だけは、放っておいてほしかった…。

「なんでもありませんよぉ〜。ただ………ほら、最近暑いじゃないですか!!だから、ボーっとしちゃって……。」
「……本当か。」
「も、勿論本当ですよ!!」
「そうか。ならいい。驚かせてすまなかったな。」

…………………はぁぅう!!!
暑さで脳みそ溶け出してるのに、それに加えて太陽よりも眩しいマーカーさんの安堵の微笑みッ!!!!
紫外線…いや、放射能よこれ!!!
って。こうのんびりと目の保養をしてる場合じゃない!

「じゃ、じゃあ私、そろそろ…。」
「待て。少し私の部屋で休んでいったらどうだ。冷たい茶ぐらいは出してもてなしてやる。」
「ご、ごめんなさい。まだ…その、用がありまして…。」

あぁ…本当なら、即効行きたかったのに…。
マーカーさんが出してくれる本場中国の鳥龍茶、美味しいのに。
嘘をついた事と鳥龍茶で心が痛くなったが…この場合はしかたない。
早々とその場を離れようと回れ右…をすると。

「…待て。」

再び制止の声。
心なしか少しトーンが低い。
そして、右手首に圧迫感あり。

「は……はい。」
「汚物子。何か私に隠していないか。」

ギクッ

「い………嫌ですねェ〜、そんな、マーカーさんに隠し事なんて…。」
「どこを見ている。私の目を見てもう一度言ってみろ。」
「あ…ぅ…。で、ですから…別になにも…。」
「…ほぉ。では、この封筒はなんだ?」

そう言ったマーカーさんの左手には……………私が持ってた封筒が!?
ハッと、自分の手を見ればやはり、そこにあった物はなくなっていた。
いつの間に!?
さすが特戦部隊…ッ!!!

「そ…それは…あ、あれですよ!!」
「なんだ。」
「え…っと……………ティ、ティラミスから、預かった書類です!はい!それで、それを獅子舞に渡すように言われたんです!はい!それで…なんか、それをまたティラミスに渡すように頼まれたんです!!はいっ!!お遣い!はいっ!私の初めてのお遣いはいっ!」

うん、いい返事!!
じゃない。無駄に多すぎるよ…。

「…本当だな。」
「はいッ!」
「………。」

うぐッ…。
マーカーさんの…いつも以上に冷たい視線が、ザクリザクリと突刺さる…。
まさか………もう、全部バレてる…?
ドキドキしながら何も言えずに、長い沈黙が続いた。
メッチャクチャ、いやぁな沈黙が。
私の体中から冷や汗が首筋を流れてすぐ…、マーカーさんがため息をついた。
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