自由人夢

□血の海
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…あ〜…雨…やだなぁ…。泥ははねるし服とか濡れるし…。
水溜りをなるべく避けながら歩くの……楽しいって奴の気が知れない。
なに無駄に神経使って面白いのよ。
…いや、それ以上に水溜りにわざわざ入って楽しんでる奴はもはや違う人種ね。
まぁ。私の近くでやらなきゃ、別に私に被害はないからいいけど。
空から落ちる透明な雫が地面の泥と混ざって茶色く濁ったり、空の曇り空を写して灰色に濁る。
どっちにしろ、濁ってるから嫌だ。
それに向かってため息を吐いた時……………あれ?
視界の端っこに、暗い色以外の物があったような…?
赤?なんか…赤い物が雨と混じって流れてたような…?
つい足を止めて振りかえって、それを確認してしまった。
…そう。確認、しちゃって…その瞬間、私は大きな後悔をするのだった。

「きゃ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!血〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!??!?!?!?!?!?!?!?!??!?!?!?」



「ッ!? つ、冷た…?」

冷たい水滴が顔にあたり、私は勢いよく上体を起こした。
…けど、その次の瞬間には世界が揺らぐような感覚。
す…すっごく、気持ち悪いんだけど…。
なんかよくわかんないけど、頭の中がボーっとしてる。
あれ?そういえば、ここ…どこ?…て。ちょっと待って…記憶がとんでる?
ヤバイよ…しゃれになんないよ!
焦って、なんとか記憶を呼び起こそうと必死に考える。
……………………そうだ。私、今日は暇だぁ…て言う事で、のんびりと散歩しようと思って、森に着たんだ。
そしたら…雨が降ってきて。だけどちゃんと折りたたみ傘持ってたから、濡れずにすんで……そして…。
ッ!!そうだ、血…血だ!!
水溜りにまぎれて、なんか赤っぽいものがあったから振りかえったら…雨が混じって薄くなった血が…ダーッっと流れてて…。
それで……その先に…男の人の死体がッ!!!
完全に思い出してしまって、恐怖で体が震えた。
昔から血だけはどうしてもダメなのだ。
自分の鼻血を見ただけでも、本当にパニックになってしまうぐらい。
そんな私が、まさか…血を流した死体と出くわしちゃうなんて…。
気絶するのも無理無いわ……って。あっれぇ?
気絶してた私が…どーして、こんな雨宿りできるような大木の下にいるの…?
自分で行けるはずない。……じゃ…じゃあ、誰が…!?
ま、さか…。さっきの死体は殺害されたもので、犯人が私の悲鳴を聞きつけて戻って来て………運んでくれた?
いやいや。そんないい方向に事が進むはずないわ。そうなると…まさか、拉致られた!?そうだ…そうに違いな…。

「…大丈夫?」
「いわっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!?!?!?!?!?!?!?!?」

本日2度目の絶叫…ていうか、雄たけび?をあげてしまった…。
だってだって、今、後ろから声が…男の声がしたッ!!

「一人で百面相してて面白かったから、ずっと見てたんだけど…。顔色…悪いみたいだったから…。」

…あれ?なんか、親切じゃない?
最初の部分にやや失礼さを感じるけど…心配してくれてる?
………もしかして…ただたんに、通りがかりの人が助けてくれた…?
あ…ははは…。そうだよね。それが一番現実的だよ、ね…。
血のせいできっと頭の中がパニックだったのせいで、変な妄想しちゃってたわ。

「………聞こえてる?」
「あっ!!す、すみません!!私なら、大じょ………………………………。」
「どうかし」
「いゃぁぁぁぁぁぁぁっぁあっぁあぁぁああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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