自由人夢

□兄弟
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「汚物子。」
「はい?どうかなさいましたか、天帝。」
「オレ、おっきくなったら汚物子をおよめさんにするから!」
「え…お、お嫁さん…ですか?」
「いやか?」
「その嫌ではありませんが…はい、えと…。では、天帝が大きくなられた時に、まだお気持ちが変わっていなければ……その時にお返事させていただきます。」






「フフ…。」
「どうしたんだー、汚物子?」
「ん?ちょっとね。思い出し笑い。」

そう言いつつもまだ笑っている私を見て、更に不思議そうな顔をするヒーロー君。
そして他の兄弟達もこっちに視線を向けた。
今日は久々に超人が勢揃い。
忍の所に乱世、忍、リキッド…そして可愛い末っ子のヒーロー君もこっちに遊びに来ていた。

「昔…ヒーロー君が天帝だった時ね。まだ今のヒーロー君位の頃だったかなぁ…。私に言った事、覚えてる?」
「汚物子に言った事?」
「なんだぁ、こいつになに言ったんだ?」
「う〜ん…。ヒーローわっかんないぞ〜。」
「忍…覚えてるよ。」
「…なんでにーちゃんが覚えてんだよ。」

寄って来た長男と三男とは違い、相変わらず皆と少し離れた場所でボソリと言ったのは次男の忍。
予想外の場所からの声にリキッドはかなり驚いてる。
そりゃ、ヒーローくん自身が覚えてないのに忍が覚えてるのは少しおかしいかもしれない。
だけど実はそんなに不思議な事でもない。

「忍はずっと私と一緒に天帝のお世話してたから、その時も一緒にいたもんね。」
「うん。でも…フフフフフ…本当、懐かしいね…。」
「おいおい、結局なんなんだ?」
「そうだよ。さっさと教えろよ、汚物子。」
「ヒーローも知りたいぞ〜!」
「あ、はいはい。えっとね、私の事をお嫁さんにしてくれるって言ったんだよ。」
「「え」」
「え〜!?本当か〜!?」

ワテワテと動作付きで驚いてくれるその様子が可愛らしくって、思わず笑っちゃった。
だけど…乱世とリキッドの二人はヒーロー君とは明らかに違う驚き方。
それがちょっと気にかかったけど、ヒーロー君が私にぐっと近づいて来たからそっちに目を向けた。

「本当だよ。あの時はびっくりしたなぁ。なんせ、幼いとは言え天帝からのお言葉だったんだから。」
「それで、汚物子はどうしたんだ?」
「ん?大きくなってもう一度言ってくれたら、って。…でも、今じゃこんな小さいのに結婚しちゃってるって思ったらおかしくって…。」

また笑い出した時、ヒーロー君はその時の事を思い出そうと頭を悩ませていた。
それもまた可愛くて膝に乗せて抱っこする。
あ〜…やっぱちみっこは心が和む。
…なんて思ってたら、なんとも言えない表情を二人揃ってしている乱世とリキッドが視界に入った。

「…ちょっと乱世〜?リキッド〜?どうしたの、馬鹿面そろえて。」
「ばっ…誰が馬鹿面だ!?」
「は?リキッド…なに赤くなってるの?」
「な、なんでもねーよ…。って…まさか、乱世兄貴も!?」
「リキッド…おめーもかい。」
「だからなに〜?」
「さっきの汚物子の話を聞いて、昔のこと思い出したんでしょ。」

どうも様子がおかしい…いや、怪しい二人。
そう思ってたら、また離れた場所から静かに…だけどしっかりと届いた声。
その瞬間、長男と三男は次男を鋭い視線で貫いた。

ザシュ…!!
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