その他あーみん夢

□真っ暗
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「あ。」
「あ。」

その瞬間、全てが闇に包まれた。



ー真っ暗ー





「あ、あの…。」
「うっ…う、ひッ…。」
「(どうしたらいいんだ、俺は…。)」

今日は午前で帰ったハズの汚物子ちゃんが、今またオレの目の前にいる。
しかも…泣きながら。
理由も言わずにただただ泣き続ける汚物子ちゃんに…オレはただただ、情けなくオロオロと戸惑うしかできないでいる…。

「ひっ…うぅ…ひ、秀樹、さん…。」
「な、ないだい!?」
「わた…私、どしたら…。」
「あー…えーと…。何かあったの?」

突然話し出したもんだから驚いて声が裏返った…。
オレ…本当にさっきからカッコ悪過ぎないか?
しかもまだ仕事残ってんだけど…まぁ…今更か。
残業やイリエしゃ…総統からの小言を覚悟して、可愛い部下の声に耳を傾けた。

「わたひ…私、さっきまで、アキラちゃんの家にいたんですけど…その時に…ふぅ…えっく…。」
「ま…まさか、黒岩の奴…無理矢理!?」
「はい?無理矢理…なんでしょう…?」
「あ…い、いや、なんでもない。」

あのタイミングでまた泣き出したもんだからつい…。
キョトンとしたその顔に、思わず立ち上がって声を大きくした自分がもんの凄く恥ずかしくなった。
でもそういう考えになるよな!?
…黒岩、意外とピュアな付き合いしてんだな…。

「アキラちゃんはゲームをしていて、私はそれを見ていたんです。暫くして…台所を借りて、珈琲を煎れて持っていったんですが…それを、私…。」
「…あー…もしかして。」
「よろけてゲーム機に珈琲をかけてしまったんです…ッ!そうしたら、テレビ画面は止まってしまって、その内真っ暗になってしまって…。ゲーム機からは変な音でますし…。私、もう頭の中が真っ黒になってしまいまして、走って逃げてきてしまったんです…。アキラちゃんがやっていたゲーム、決まったセーブポイントにいかないとセーブできないモノでしたから、だいぶデータ消えてしまった…で、しょ…うぅっ…ふぇ…。」

そこまで言うと、またポロポロと汚物子ちゃんの目から涙が零れ落ちた。
…なるほどな。まったく…黒岩の奴、愛されてんだなぁ。
クソ。羨ましいぞ黒岩!!

「汚物子ちゃん、そんな気を落とさなくても大丈夫だって。ちゃんと謝れば…。」
「だって…ドリームスの五味さんは奥様にゲームを途中で消されたのが原因で離婚なさったらしいじゃないですか…!」
「そ、それはそうだけど…。アレは特殊で色々おかしいんだよ。」

あぁ…ヒデハルの話、彼女にするんじゃなかったな…。

「とにかく、絶対大丈夫だから!怒ってる所か、いきなり出てきちゃったんだろ?心配してるんじゃないのか?」
「ですが…。データだけでなく、ゲーム機も…ソフトも駄目になってしまったかもしれないんですよ?私だったら…パソコンにウイルスの一つや二つ送ってしまうかもしれません…。」
「結構陰険なのねキミ。」
「だから、私…アキラちゃんに、嫌われて…。」
「じゃあ汚物子ちゃんは同じ事されたら、黒岩を嫌うのかい?」
「それは…ッ!それは、無いです!絶対無いです!!」
「黒岩もそうじゃないのかな。…ね。なんだったらオレからも言ってあげるから。」
「はい…。秀樹さん、ありがとうございます。」
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