その他あーみん夢

□第二アニマル王国建設中
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「ナーオト♪」
「…駄目だからね。」
「まだ何も言ってないよー!」
「腕に抱えてるモノ見たら嫌でも分かるよ…。」

ポタリポタリと玄関に水滴が落ちる。
ずぶ濡れなのも全く気にしない様子で笑う汚物子の腕の中で、みゃあとそれは鳴いた。
『早くタオルを持って来なくては』
『お風呂に入るように言わなくては』
『猫を諦めるように説得しなくては』
この時ナオトに三つの課題が一度に出された。
勿論一番頭を悩ましているものがどれかなどとは、言わずもがな。



第二アニマル王国建設中



「ハァ…。」

パソコンの前で深い溜息が零れる。
その原因は目の前の現在製作中のゲームの事ではない。
まぁ、数分前まではその事で溜息をついていたのだが。
今はその事もこの際二の次。

「もう3匹目じゃないか…。」

そう呟きながら近くにいたミケポンを撫でた。
するとそれにヤキモチを焼いたのか、ブチポンも擦り寄ってきた。
この2匹も彼女が連れてきてナオトに押し付けたもの。
彼女が飼えば良いと思うが…汚物子の住むマンションはペット禁止なのだ。
なのでこうしてペット可のマンションに住むナオトの元へ来るのだ。

「フーぅ!サッパリした!ねぇ、シロポン☆」
「早速だけどそこに座って話をしようか汚物子。」
「シロポン拭きながらでいい?」
「いいけど…ていうかシロポン…。」

頭痛を起こし始めてるナオトとは対照的に満面の笑顔で既に名前を付けている…。
しかもやっぱり恐ろしいネーミングセンス。
言う必要もないだろうが2匹の名前をつけたのも汚物子。
ナオトは普段はその名前で呼ぶ事に抵抗があり、『ミー』『ブチ』と略して呼んでいる。
そうなるとこの猫は『シロ』と呼ぶ事に…。
と、そこまで考えてからナオトは大きく首を横に振った。

「違う違う…!ダメだよ。」
「う?何が?」
「僕は飼えないよ。」
「は?」
「ミー…ミケポンとブチポンはなんだかんだで結局引き取ったけど、今回はダメ。」
「なんで!?」

さっきまでの笑顔が嘘のような睨み。
ナオトは完全に圧倒されてしまった…。
しかしそう簡単には引き下がれず、なんとか言葉を探す。

「なんでって…さすがに3匹はもう…。」
「2匹もいたら1匹増えたって変わらないよ!」
「いや変わるって…。だいたい、最初から僕はペットとか飼うのは乗り気じゃなかったし。」
「ミケポンとブチポンの前でなんて酷い事を…!それでも次世代のムツゴロウさん!?」
「誰もそんなモノ受け継ぐ気ないから!」
「私はナオトは絶対にムツゴロウさんを超える…そう、ムツゴロウ王国のみならず動物界の神となる男だと信じていたのに!」
「僕ただのアートディレクターだって!」

確かに動物は好きだが、それは極々一般レベルの話。
それが何がどうなって神の領域に昇格しそうになっているのか…。
というか、なんなのかこの会話。
溜息をつきながら汚物子を見れば、至極真面目且つ譲る気など全くないようだ。
このまま根負けして結局今まで通りになってしまいそうだ…。
ハァ…。
さっきよりも分かり易い程大きな溜息。
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