封神夢

□どこまでも一緒
1ページ/2ページ

「ん〜…。気持ちいい〜!今日は特にやる事ないし。天気はいいし。これであとは、美味しいお茶とお菓子があって………………………………………………変態道化師さえいなけりゃ、言う事ないのに!!!!!」



【どこまでも一緒】




「なんでアンタは……いっつもいっつもいっつもいっつも!!私がのんびりしようとすると、必ずそうやってひょっこり出てくるわけ!?」

周軍の集まりから少し離れた所にあった木陰から、怒声が響く。
その声は勿論、崑崙の道士である汚物子。
顔も怒りにゆがめて、その手にはしっかり貝宝も握られている。
…しかし。その怒りの矛先は、そんなのどこふく風。
機嫌よさそうな笑みを浮かべている。

「私に会えたからと言って、はしゃぎすぎですよ。汚物子。」
「違うわぁっっ!!なに恐ろしいまでに勘違いしてんのよ!?私は、アンタなんか…ッ!!」
「ああ、そうでした。妲己の所から月餅と鳥竜茶をくすねてきたんですが、いかがですか?」
「……………………………………。」

結局、食べ物に釣られる汚物子だった。

「…にしてもさぁ。」
「なんですか?」
「本当のところ、なんでいっつもこう見計らったように出てくるわけ?まさか、いつも監視してたりとか〜?ま、いっくらなんでもそれは…。」
「してるに決まってるじゃありませんか。」
「そうだよねぇ、普通して…………………………………………………は?」
「当然じゃないですか。安心してください。24時間体制でしっかり、いつも見守っていますよ。」

それはにこやかに話す申公豹。
誰かこの最強の道士に、“ストーカー”と言う存在を教えてあげて欲しいものだ。
そして、その片棒を担がされている最強の霊獣を哀れんであげて欲しい。
さて。これを聞いた汚物子の反応はというと………………硬直している。
怒りのあまりなのか、あきれ返っているのか…心の内を見てみると…。

「(24時間って…お前はコンビニか!?じゃあなに!?申公豹に会ってからの毎日を見られてたって訳!?じゃ、じゃあ…私が申公豹の事考えてぼんやりしてたのや、申公豹の事考えてため息を漏らしてたり、あまつ…申公豹の名前なんかをつぶやいちゃってたりしたのも………全部見られてたわけ!?!?!?)」

この時、コンビニなんてものの存在はあえて無視するとして。
両方外れだった。
口ではなんや言っていても、どうやら汚物子も申公豹にしっかりちゃっかりハッキリくっきり、惚れこんでしまっているらしい。
次第に汚物子の顔は紅潮していき、うつむいていった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ