封神夢

□本日最凶日
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晴れ渡った空。
温かく私を包む日差し。
気持ちの良い微風。
おかげで今日は汚物子の機嫌は朝から上々だった。

「汚物子…。」
「あ。太公望!どーしたの、そんな暗い顔して〜。もっとポジティブに生きようよ、私のようにさ☆」
「ハァ…。汚物子よ…よぉく聞くのだぞ。今日のわしのいわし占いによると…今日のおぬしの運勢は……。」



〜本日最凶日〜



「…ハァ…。」

汚物子の先程までのテンションはまるで幻だったかのように今は萎んでいる。
何故かと言えば…。


『今日のおぬしの運勢は大凶じゃ。いや!そんな程度のものではない…最凶…うむ。そう言うのが最適なほど、おぬしの運勢は頗る悪い!』
『…は!?最凶!?』
『うむ。とにかくあるとあらゆる面から災難の種が生ずる。特に対人関係でそうとう酷い目に遭いそうじゃ…。』
『ほ…本当に…?』
『こんな事でおぬしをからかってわしになんの得があると言うんじゃ。…とにかく。今日は大人しくしておった方が身の為じゃぞ。』


…と、いう事があったからだ。
しかもやっぱりさすが太公望のいわし占い。悪くもよく当たってしまった。
言われたとおり今日は一人大人しく引きこもってようとしたら…。
まず汚物子を土公孫の浮気相手と勘違いした蝉玉に殺されかけ、武王に迫られ、丁度そこに来た周公旦に助けられたが…何故か一緒に説教され、挙句の果てに雷震子とナタクの喧嘩に巻き込まれ…。
ほんの僅かな間に地獄へと叩き落されたような気分にさせられた。
結局なんだかんだで、今は人気のない場所でやっと一息ついてる。
もう満身創痍状態でグッタリとしていた…のだが。

「…あ。あれは…!」

ふと頭上を大きな影が横切り、それを目で追うと…それは黄巾力士だった。
それも汚物子が最も見覚えのあるもの。
思わずその黄巾力士を追って走って行ってしまった。
今日が“最凶の日”であることも忘れて…。
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