その他夢

□一番
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毎年この日は1日、イライラする。
女はいつも以上にうるさいうえ、俺の嫌いな甘い物…チョコを押し付けようとする。
邪魔で仕方ないッ!!
…だが、今年は違う理由でいつも以上に苛立つ。
なんで……なんで、こいつらが貰って、俺にだけない!?!?


【一番】



「イザークン。」
「…。」
「ねぇ〜、イザークン。」
「…。」
「万年2位のイザークン?」
「貴様……いい加減にしろぉ!!!」

怒鳴って振り向いてしまってから、いつも気付く。
しまった…と。
予想通り奴はニンマリと笑っていた。

「やぁ〜っと、返事した。」
「変な呼び方をするなと何度言ったら分かる!?」
「ひっど。親しみを込めて、ステキなニックネームをつけてあげたのに…。」
「つけるな呼ぶな話かけるな!!」
「もぉ〜。なに不機嫌なのよぉ。」

わざとらしく泣きマネをするこいつ…汚物子に、感情のままに怒鳴りつける。
しかし汚物子は全く動じてないようだ。
その様子に、内心ホッとする。
だが…やはり少し腹が立つ。
誰が不機嫌の原因なのか、わかってるのか!?
俺は(不覚にも)汚物子に惚れてしまっている。
いつも今みたく、俺をからかうように話かけてきては笑う汚物子に、イライラするのに、来ないと寂しさを感じ初めて…。
いつの頃からかいつもその姿を目で追って、他の男(特にアスラン!)と話しているのをみると、この上なく腹が立ってさり気なく邪魔をしていた。
他の男になど絶対に渡したくない!!
むしろ、俺以外の奴の目に触れさせるのも嫌だ。
自分でもおかしいと思うほど汚物子に想いを寄せているのに、口からでるのは悪態ばかりで自分でも嫌になる。
しかも汚物子も負けずに言い返してくるから、つい怒声を上げてしまう。
クソッ…!!惚れた女と口ゲンカしかしてないのか、俺は!!

「イザークさぁ。そんなに怒ってばっかだと、その内血管切れるよ。」
「貴様がそうさせてるんだろ!!」
「え〜?イザークが怒りっぽいだけだよ。だって、この前ディアッカに“パツキンコゲパン”って言っても怒らなかったし。」

…そういえばこの前。ディアッカが化粧品の雑誌の“美白特集”のページをずっと見ていたな…。

「アスランだって“アスラン・ズラ”って呼んでも、さわやかに笑ってくれたよ。」

それは絶対に苦笑だ!
ハッ。まぁ、いい気味だがな。

「ニコルも“緑の魔術師”って行ったら、笑顔で藁人形の作り方教えてくれたよ。」

恐すぎるぞ、おい!!

「ラスティーだって“生足魅惑のマーメイド”って呼んだら「爽快っ!」って元気よく返事してくれたし。」

ところであいつは変な私服で嵐の中外へ行く癖はどうにかならないのか。

「それに比べてイザークは“白銀コケシ”とか“歩く火山”、更には“イザークン”って呼んだだけで怒るなんて…。まったく。」
「怒って当然だ!貴様がため息をつくな!!」
「そんなに怒鳴らなくても聞こえますよ〜だ。」
「貴様ッ…!!」
「ほらほら、怒んない。イザークはもーちょい平常心を保てるようにしなきゃ。じゃないとアスランに勝てないよ。」

怒鳴るのを止められて、余計にムカついているのに追い討ちをかけるような一言。
今日一番の大声を張り上げそうになった……………が。
俺の顔を覗きこんで小首をかしげるその姿に、思わず言葉が詰まった。
顔が熱くなってきて、汚物子から顔を背けた。
クッソ〜!!俺とした事が、情けない…!!
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