その他夢

□ココアとチョコと…
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「こんにちわ〜。」
「おぉ。いらっしゃい。」
「汚物子ちゃん、こんにちわ〜。」

私が店に入ると、見なれた2人がにこやかに迎えてくれた。
ここの店にはよく来るからマスターとも親しくなったし、夏実ちゃんとは同じくらいの年同士だから、メールのやりとりもよくしてたりする。

「いつもと同じで、ココアでいいかい?」
「…あ、はい。お願いします。」

カウンター席に座ると、早速マスターが注文を聞いてくれた。
本当はマスターのコーヒーが一番美味しいらしいんだけど、私はあの苦さが苦手で…。
でもココアも美味しいんだよねぇv丁度いい甘さで。
外が寒かったから、速くあのあったかくて甘くて美味しいココアが飲みたい。
そんな事を返事をしながら考えてから、店の中を見渡した。
今、お店の中にお客さんは私一人だけ…。

「……どうしたの、汚物子ちゃん?キョロキョロして。」

私の行動に気付いた夏実ちゃんが声をかけてきた。
もう一度店をちらりと見たあと、視線を合わせて答える。

「いや、ね。待ち合わせしてて。」
「待ち合わせ…?誰と?」

きょとんとした表情で、たずねる彼女…。
一瞬私も、彼女の独特な雰囲気のせいでボーとしてしちゃったけど、ハッと我に返った。

「夏実ちゃんはわかるでしょ〜!前に言ったじゃん。」
「う〜ん…?」

本気で分からないみたいで、悩み始めちゃった…。
…てか、前って言っても昨日メールでも話した気がするんだけど…。
あ〜…でも、天然な子って可愛いーなぁ…。

「う〜ん…う〜ん…。」

まだわからないようで、頭を抱えている。
…この子、本気で大丈夫かなぁ?
だって昨日メールしたってのもあるけど、私達女にとってはかなり大切な日でしょ。

「わかんない〜?」
「えと、えっと………………………あっ、わかった!赤屍さんを待ってるんだ?」
「あたり。やっと思い出した?」
「思い出してはいないけど…。」
「? じゃあなんでわかったの?」

確かに私と赤屍さんは、お付き合いをしてる。
その事は勿論夏実ちゃんも知ってる。
だけど、あんまりデートとかってのもしないし。
てゆうか、真昼間に黒ずくめの赤屍さんと出かけたらまわりの視線が痛い…。
ここで待ち合せをしてる数なら、仕事関係で仲介屋をやってるへヴンさんの方が多いはずだけど…。
私が“?”を浮かべていると、夏実ちゃんは笑顔でサラリとこう言った。

「さっきからずぅ〜っと汚物子ちゃんの後ろにいたから、もしかしたらって思って。」
「……………………………………………………………………………………は?」
「こんにちわ、汚物子さんv」

思考回路が停止して、かなりマヌケな声を出してしまった。
やっと脳みそが少しづつ動くようになって、顔を後ろに向けると…黒。
視界が黒一色に満たされて、それがなんなのかを悟ってすぐ、頭上で声がした。
低くて独特な雰囲気のあるこのお声は……。

「あっ…あか、あ…か…あ、赤屍さん!?」

いつものように、恐いまでに綺麗な笑顔をした赤屍蔵人さん。
語尾にハートマークまでつけてご挨拶。
だって、気配なかったよ!?
…いや、確かにこの人は気配消すのが特技(?)だけどさ!私だって一応は裏の仕事をしてるんだし…。
私が困惑していると、それを楽しそうに見ながら、悠々と隣の席に腰掛けた。

「ほら、ココア飲んで落ち着け。」
「私にもコーヒーをお願いできますか?」
「はいよ。」

しかもちゃっかり注文までしてるし!!
まだ心臓がバクバクいっているけど、ココアを一口飲んでなんとか落ち着かせてから、赤屍さんに向かう。

「いつの間にいたんですか…。」
「お2人が話し始めてしまった辺りから…ですかね。」
「…じゃあ、声かけてくれたらいいじゃないですか。今、本気で心臓止まるかと思いましたよ。」
「クス。私と一緒ではない時の汚物子さんも見てみたいと思いまして。」
「あ、そうですか。」

小さく笑ってそう言った赤屍さんに、わざと冷たく言ってみる。
…だって、本当は恥ずかしかったんだもん。

「しかし…寂しいですね。私には滅多に連絡をして下さらないのに、こちらの方とは頻繁にメールのやりとりをなさっているようで…。」
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