自由人夢

□ニックネーム
2ページ/4ページ

「うわぁぁぁぁぁぁん〜〜〜〜!!!!!忍が不気味だよぉ!!!!」
「乱世兄貴〜〜!!!忍兄ちゃんどうにかしてくれぇぇぇ!!!!オレはお化けが大ッッッッ嫌いなんだぁ!!!!!!!!」
「ひ…ヒーロー!忍の事、不気味とか言うな!あとリキッドも、お化けって言うな!例えな、思ってても言っちゃいけねぇんだよ!!」
「フフッフフッフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ…。」
「んな事より、早く忍兄ちゃんどうにかしてくれぇ!!!ぜってぇ、あの笑い方おかしいだろ!!兄貴〜!!!」
「な…なんでもオレに任せんじゃねー!よし、これも試練だ!リキッド、お前が忍をどうにかしろ!!」
「オレにできるかぁ!!」
「オレにだって、できるかぁ!!」
「うわぁぁん!!!!!」
「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ…。」

あぁ…忍、こんなに笑ったの…初めてかもしれないな。
笑いを止めようにも、止まらない。
次から次へと笑いがこみ上げてくる。
…本当におかしな子だな…汚物子は。
そういえば、さっきから兄者達の変な声はたくさん聞こえてくるけど…汚物子の声は聞こえないな。
驚いて唖然としちゃってるのかな…?

「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ…。」
「…………は…。」
「…ん?汚物子ちゃん、どーし」
「あは……あはは、ははっははははははははははははははは!!!!!!」
「…汚物子…?」
「わぁぁ〜〜〜〜ん!!!!!汚物子までおかしくなっちゃった〜!!!」
「あぁ〜!!オレも気が変になりそうだぁ〜!!」

兄者は呆然として、リキッドは頭を抱えてうずくまっちゃって、ヒーローも今まで以上に大泣きし始めちゃった…。
忍自身も、びっくりして笑いも止まっちゃったし…手首切りそうだよ。
いきなり汚物子も忍みたいに…あ、違うね。
忍より全然明るい感じにだけど、お腹を抱えて笑い始めた。
皆が1歩1歩と汚物子から離れて行くけど、忍はちょっと近づいてみる。
笑いが止まる気配はない。

「汚物子…?」

手が届くまで近づいてから、もう一度呼びかけてみた。
そうしたら、笑い続けながら。お腹を抱えながら。目にいっぱいの涙をためながら…。

「もっ…もう、サ…サイッコ―!!しの…し、忍さん、サイッコーです!!」

忍の顔を指差して、やっぱり笑いながら汚物子は言った。

「皆が、色々い、言うから…どんな、ネクラ…かって、思ったら…全然お、おもッ…ぷっ…面白いナイスな人じゃないです…あ、あはははははは!!!」

こみ上げてくる笑いに負けて、全て言い終わらないでまた笑い始めちゃった。
………忍が、“サイッコ―”?
………忍が、“面白い”?
………忍が、“ナイス”?
どれもこれも、忍…初めて言われる単語ばかりだよ。
ほら。兄者たちも汚物子の言葉を聞いて、信じられないって顔で固まってるよ。

「はは…。ねぇ、忍さん。」

どうやらひとしきり笑い終えたみたいだね。
だけど笑いすぎたせいか、お腹が痛むみたいでそこは押さえたままだった。

「…なに?」
「今からタメ口きいていいですか?」
「別に構わないけど…。」
「本当!?あはは。よかったぁ!じゃあ、私の親友になってくれない?」
「………………………。」
「はい、ストップ。答える前に切らないでよぉ!」
「だって…忍、いきなり親友になってくれ…なんて言われたの初めてで…。」
「これでも、本当は“心友”になって欲しい所を押さえたんだよー!」

予備剃刀をあっさり取り上げて、少し不満そうにこっちを見上げる。
忍を見上げるその表情が可愛らしくて、少し口元が緩んじゃったよ…。

「ねーねー、ダメー?お友達からでもいいからー。」
「…ううん。ただ、忍、友達もいないからびっくりしただけだから。汚物子さえよかったら、心友になりたいな…。」
「やったぁvわぁい!じゃあ、改めてよろしくね、“しーちゃん”!」
「……………。」

フフフ…。また、切っちゃった…。

「へぇ…包帯の上から切っちゃうんだ。…て。なんでやねん!心友になってくれるって言ったじゃない。そんなに握手するのいや?」
「そうじゃなくて…。“しーちゃん”?」
「うん!忍さんのニックネーム。だって心友になったんだもん。ニックネーム付けなきゃでしょ?ニックネームは友情のたしなみだよ!」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ