小説
□月と地球のワルツ
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彼女の隣を歩ける僕は幸せ者です。
僕より少しだけ背の高い彼女の隣は、すごく居心地が良いんです。
学校ではいつも周りに頼られていて、僕が入れる隙なんて無い様に思えるのに、彼女は僕の為に必ず隣を空けておいてくれる。
そんな彼女の隣にいられる僕は、すごく、幸せ者です。
「見て下さい、先輩。ほら、月が出てる。綺麗ですね」
先輩の方が綺麗ですけどね。
「そうね…。…月ってさー、まるでキミみたいだよね」
「僕…みたい、ですか?」
「そう…。なんとなく、そう思っただけ、なんだけどね」
忘れて、と彼女は微笑んだけど…。
そんな美しいものと同等にされた僕。
…悪くない。悪くないどころか、
すごく、うれしい。
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