小説

□空と魔女と黒ネコと
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とある国の外れにある小さな村に、一人の少女と一匹のネコが住んでいました。


「今日こそ空を飛んでみせるわ!見てなさいよ、そこでうすら笑い浮かべてる黒ネコ!」
「黒ネコ言うな!ヒネリが無さすぎるっつーの!」
「ふんっ!あんたなんか"クロ"で充分よ。ク〜ロ〜ちゃ〜ん?」

少女は、空が飛べない魔女でした。

「…おい、マヤ。今日こそはちゃんと飛べるんだろうな?」

マヤと呼ばれたその少女は自信たっぷりに答えました。

「もちろんよ。ホウキの手入れはばっちりしたし、魔石も昨日の月の光をいーっぱい浴びせたし、呪文の詠唱だって舌を噛まずに言えるし、朝ごはんもしっかり食べたもの。完璧よ」
「…それ、毎回言ってるぞ」
「あら、そう?」
「……不安だ……」

クロは、ハァ、と大きなため息をつきました。



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