□自己防衛法
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出来れば、出来ることなら、頼みたくはない、近藤に迷惑をかけるという事は、土方にとっては苦痛である。しかし、抜き差しならない事情というのは、あった。

「近藤さん‥‥」

「どうした、トシ?」

局長室の扉を開けて、土方が顔をのぞかせた。真剣な面持ちで近藤の部屋を訪れた土方にカップ麺をすすりながら近藤が答える。

「いや、あのな、」

「お前も食うか?カップラ」

「いらねーよ、ってか変な略しかたすんなよ‥‥」

「からしマヨネーズ味だぞ、新発売。」

「‥‥‥‥食う。」

マヨにつられてカップ麺を受け取ると脇にあったポットから湯を注ぐ。ふやけすぎるのが嫌いだから、2分15秒ジャスト、3分は待たない。

フタを開けて少しほぐす、ふわりとあがる湯気と強烈なマヨネーズの香りとともに麺をすすりあげた。

「‥‥‥うまい。」

「だろー、これは割りとあたりだよなぁ」

こくりとうなずいて、無言で麺をすする土方は、なにやら幸せそうだ

‥‥‥‥

「‥‥って、違ーーーーうっ!!俺はカップ麺食いに来たんじゃねぇぇ!!」

「いや、しっかり食っといて説得力ねえーぞトシ。」

「まあ、とりあえず食え、のびるから」

「話をカップ麺から離してくれ!!」


「一体どうしたんだ、トシ?」

切迫した様子に、さすがの近藤も土方のある種の沈痛な雰囲気を感じ取っていぶかしげに聞き返した。

「その、今日から」

「今日から?」

「俺と一緒に‥‥」

「トシと‥‥?」

「寝てくれ‥‥」
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