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□大虎―オオトラ―(近土)酔人続編
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「ひっじかたさーん」
「いやだ」
廊下を歩いていた土方の背後から、その名を呼びながらかけてきた沖田がびょんと土方の背に飛びつくと同時、土方がそういい放つ。
「まだなにも言ってやせんよ」
「………言ってみろ」
沖田を背にひっつけたまま歩みを止めない土方がズカズカと進む
「一緒に酒…」
「断固拒否」
間髪入れぬ即答ぶりに沖田がしばし沈黙して、それでもあとを続ける
「………最近付き合い悪いんじゃありやせん?」
「絶対NO」
「近藤さんも一緒ですぜ?」
「200%却下」
「近藤さん寂しがってましたぜー?トシがつれないって」
「我関せず」
あくまでも拒否を繰り返す土方に、むう、と唇を尖らせてその首にしがみつくと思い切り後ろにのけぞった。
「のわぁっ!!?」
急に移動した重心について行けず、沖田を巻き込んで後ろ向きに倒れた
「痛いでさぁ、ひでぇなぁ土方さん」
「あほかぁ!!お前のせいだコラ!!」
さして痛くもなさそうに沖田が抗議するのにむなぐらをつかんだ。
「やっ…やめて」
「はぁ……??」
いつもと違う沖田の反応に訝し気な顔をしてあたりの視線に気がつく。
「副長が……沖田隊長を……」
「てごめに…」
ひそひそとささやき合う隊士が数人こちらを見ている。
「…っばっか野郎!!んなわけあるかコラァ!!」
「たーすーけーてー犯されるぅ。」
「総悟てめぇっ!!!どっちがだコラァ!!そりゃ…」
こっちの台詞だと喚きそうになって飲み込んだ
「………そりゃ…なんですかィ?」
ニヤリとした沖田が聞き返してくるのに、ぎりっと歯噛みしてつかんでいた襟元を突き放す。
「と、とにかく!!俺は呑まん!!近藤さんと二人でやれや」
それだけ言って遠ざかる背中を見送って、ちぇ…と舌を鳴らして呟いた
「じゃあ…そうするかぁ…」