□刀と鞘の関係
1ページ/18ページ

天人が降りてきて以来、いろいろなものが増えた。
コレもその一つ、当たり前に見かけるようになった自動販売機の取り出し口から排出された紙パックのドリンクを取り出して、後面に貼り付けられたストローの袋をはがす。
やたらと喉の渇く乾燥した日で、こんな日はあまり好きじゃない。
空はもう暗くて、辺りに人通りもなかった。
もともと繁華街からは外れているから明かりも少なくて、乾燥してはいるものの空は澄み渡って、星が美しい。
ネオンなんか、無かった…その昔を思って、高杉は空をしばし見上げた。

「………?」

空には星と、自分の吐き出した紫煙…
やたらときらめく星が一つ、点滅を開始した。

星にまぎれていたそれは、小型船だったらしい。
時代はこうも変わっちまった…

「……あ?」
眺めやればそれは徐々に降りてくる。
ジェットの排出する風が高杉の髪をめくって粉塵をまき上げる。

小型船の下部が機械的な音をたてて開いた…
何事かと見やる…

そして、眼を見張った…

「晋ーーっっvvX」
ひょこりと顔を出して、高杉へと手を振る。
すたんと地上に降り立ったその男を見開いたままの眼で高杉が見つめた。

「会いたかったぜよーーーっ!!」
両手を大きく広げてハートマークなんぞを飛ばしつつ突進してくる男…坂本辰馬に、呆然としていた意識を取り戻した高杉の次の行動。

手にしていた紙パックのジュースを大きく振りかぶって坂本の顔面へと投げつけた。

「むおおぁぁああああっっ!!!」

ぱっあんっ!!と派手な音、未開封の紙パックはそう簡単に破裂したりするものでは無い、だがそれは見事なほどに坂本の顔面で炸裂し、中身を飛散させた。
そのまま後へとひっくり返った坂本にずかずかと間合いを詰めて、すぐ脇に立つといまだ手にしていたストローもぱしりとその顔に叩きつけてやる。

「辰馬…てめぇ…なに明るく登場してんだ…よくも今更俺の前にツラぁ出せたもんだなぁオイ…?」
顔面を血で真っ赤に染めた坂本を瞳孔完開きの独眼で見下ろして高杉が低い声でうなる様にそうはき捨てる。

「ハッハッハッ、晋、トマトジュース投げちゃあいかんぜよーお百姓さんに悪いきに」
「トマトじゃねぇ…りんごだ…」
「最近のりんごジュースはあかいんじゃのー知らんかったぜよ。」
「それはてめえの血だっっ!!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ