□2.14事変
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「トシー!!」
屯所の廊下を近藤がドタバタとかけてくる
ふと見やれば包装紙にくるまれた箱を持っていた

「トシ!!おっ俺っ!!チョコ貰っちゃったよぉー!!!」

「山崎ぃ!爆弾処理班を呼べぇ!!!」

「はいっ!」
土方が大声を上げればどこに潜んでいたのか山崎が返事をして走り出した。
「総悟!確保っ!!」
「へいっ!」
しゃっと刀を抜き放ち沖田が近藤の前に立つ。

「…え、いや…総悟?トシ?」

「近藤さん…夢見るのは止めようや…、あんたにチョコくれる女なんて…この世にいるとしたらそりゃあ罠だ」
「どういう了見だそりゃあ!!!!」
至極冷静に近藤を説きふせる土方ともっともだと頷く沖田に近藤がたまらずわめいた。

「それにだなぁ!これは銀時から貰ったんだ!」
「はぁっ!?銀と…銀髪から?…な、なんで?!」
近藤の発言に慌てて土方は『銀時』と呼びそうになるのを沖田にぎろと睨まれて辛うじて訂正する。

なんで銀時が…近藤さんにチョコを…?

「副長!爆弾処理班を連れて来ました!」

「ん…?あ、あぁ…ワリィなんかいらなかったみたいだ…」

なにやら力の抜けた声で土方がそうこぼしたのに山崎はふと顔をあげた。
「は…?いらない?」
「あぁ…万屋に貰ったんだと…」
得意満面の近藤が処理班を追い返しつつ、土方達のほうに向き直るとガハハと豪快に笑った
「そーだぞおまえら!これはお妙さんの手作りチョコなんだからなっ」

「処理班っ処理班!!!爆弾処理班カムバッーークっ!!!」

「なんでだぁぁ!!?」

大慌てで爆弾処理班を土方が呼び戻すのに近藤が叫んだ。
その隙に沖田の手が滑りこみ近藤の抱える箱をはじいた。
「山崎ぃ!パス!」

「了解です隊長!」
落下しくる箱をどこから出したのかラケットで拾い上げる。
「副長っ!お願いします!」

無言のまま土方が高々とあげた手のひらにパシッと箱が収まった。

「ちょっとぉっ!!乱暴にしないでぇお妙さんの手作りチョコっ!!」

「うるさい。」
「トシっ」
近藤の懇願を一言で否決して包みを処理班に投げようとした土方を近藤が呼び止める。
ちらと見やれば悲しげな瞳…。
「トシぃ…」
「だ…駄目だこんなん腹壊すってか爆発する…」
少しばかりうるうるとした犬の瞳を思わせる眼で近藤が縋るのに土方が押され気味だった
「何もたもたやってんでぇ」
「あ。」
土方から箱を取り上げ容赦なく処理班へと放った。
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