□土方攻略
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「……マジか!?」
半ば信じられないものを見たと言う感じで土方が聞き返す。

「駄目上司でも立ててやんのが部下たるもののつとめ…!!!」
「だっれが駄目上司か。」

「ただし俺にも心の準備って奴が必要でさぁ。土方さん、今度ふたりで日ぃ合わせて休暇を取りやしょう。」
土方を見つめる沖田のめは憂いを帯びて、その奥に覚悟が宿っていた。
「……お、おう」

ふたりの付き合いの事は皆には内密である。
何気なく、たまたま休みがかぶったように日を調節するのにだいぶ苦労した。

そして、この沖田が手配した温泉地のホテルに二泊三日の初H旅行へと繰り出したのである。

当然、土方はこの旅行が全て沖田の策略だなどと言う事は知る由も無かった…憐れ土方!


「はー、悪くネエな。」
ホテルの部屋に足を踏み入れて、土方はそういった。
もともと過剰にものを褒めるタチでないのを知っていたからこれは、お気に召したととっていい。

まあ、当然である。
スィートとまでは行かないまでも、そう安い部屋じゃあない。
旅費は土方が全部出す、といったのを沖田が割り勘でいいと通し、尚且つ、ホテルの手配からなにから全てお膳だてしたのは沖田であった。

割り勘、といわれて自分が出した額、それを考えてこの部屋を見れば、文句のつけようが無く、土方は総悟のやつよくこんなトコみつけたなと、感心した。
実際には、沖田が土方が聞いた旅費よりもいくらか上乗せしてだしていたからこそのクオリティなのだが。
温泉に二人でつかり、酒をかわした。
料理もなかなかいける。

土方は酒のせいもあってか上機嫌だった。



それが、
「それがなんでこーーーなるっっ!!?!」
土方の叫びには悲痛なものがあった。

「何を騒いでるんでィ、これから愛し合う二人が結ばれようって時に。」
「いやっっかましいいわっ!!これが叫ばずにいられるか!てっめぇいつ薬盛りやがった!!?」
「ああ、酒と料理にちょいと。」

沖田はさらりと返答した。

「嘘つけ!!言っとくけど俺はオメぇが口にするの確認してから食ってたんだぞっ!お前が平気な道理はねえだろがっ」

「ひでぇなぁ土方さん俺をちっとも信用してねえんですね。」
「信用になど値するかぁぁぁぁ!!!!」

もっともな土方の抗議は部屋の壁に吸いこまれるばかりで、沖田の良心には少しも響く事は無かった。
もっともそんなものが沖田にあればのはなしではあるが。
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