幻想冒険記5

□外伝1
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都市アバル、勇者ガランの遺体が、ここにある。
着いてはみたが、場所が解らないので、酒場に行って聞いてみることにした。

酒場に入り、カウンターの席に座ると、マスターが話掛けてきた。
「いらっしゃいませ。何の御用で」
「一番安いランチを一つお願いします」
「他には?」
「勇者の墓を、教えて貰いたいんだけど」
「観光かい?」
「そんなところ」
「そこ貼ってある、街の地図に載ってるから見ていけ」
「ありがとう」
俺は、席を立ち、地図で場所を確認し、元の席に戻る。
食事の届くまでの時間、酒場に居る客を見回してみる。女性が一人いて、あとは全員男。
皆が、冒険者の様だ。
しかも、今から出発しようかと、準備も済ませている。
「おまち。」
「ああ。なんだかものものしい感じなんだけど、何かあったのですか?」   「知らないのか?。3ヵ月位前から、若い男女が夜に血を吸われて死んでいるんだ。
討伐の依頼を出したが、解決どころか、冒険者も犠牲になっているみたいだ」
「全員、死亡ですか?」
「一度、難を逃れた奴がいたが、また行って、生きて戻って来なかった」
「正体が、まったくわからないのですか?」
「ただ、辺りから急に黒い物が覆いかぶさるように包み、空に運ばれていくと言う話だ。」
「そのとき、一緒に連れていかれて、身動き出来ないところをって事ですね」
「そうだろな」
「とりあえず、頂きます」
夕食を食べている中、人がぽつりぽつりと、店から出ていく。
「ごちそうさま。はい、代金」
「おう。」
「部屋空いてます?」
「空いてるが、お前さんはいかんのか?」
「出来れば、このまま寝たいところなんで。それに、あれだけの人数がいれば、どうにかなるのでは?」
「見たところ、それなりの使い手だろ。それに、この近くで、現われた事もあるから、熟睡できるかわらんぞ」
「なんか強引」
「早く解決してもらいたいだけだ。夜、出歩けないから客足がほとんどなくてな」
「たしかに、今、俺以外に客いませんし」
「お前さん、相当な魔力が感じるしな」
「マスター、元魔法使いですね」
今、俺は、刀を腰に携えてるので、普通は剣士に見える。
「そこそこのな。しかしお前さんほどの魔力の持ち主に会ったことは、片手に数えるくらいしかいない」
「あまり本調子じゃないので、情報収集という事ならやりますよ」
「出来れば、討滅してもらいたいが、少しでも進展したいところだしな。仕事、受けてくれるのだな?」
「ええ、詳しく教えて下さい」
マスターから、さらに説明され、手続きを済ませ、酒場を出た。

どこから来るのか解らないらしいので、とりあえず、街をある程度、見渡せる高さまで飛んでみる。
月明かりで、今宵はそんなに暗くない。
飛び回っていると、酒場にいた冒険者を何人か見かけるくらいだった。
大通りや、路地裏などの道を覚えてる最中に、不意に魔力を感じた。
だが、感じた魔力に違和感を感じる。
強力というより、広範囲でかなりの数がいるように思えるが、魔力の気配は一つしかないように感じる。
魔力で、結界を張り襲撃に備える。
向かって来てるのは確かだが、街の様子は変わらない。
なにも起こってないか、見ていると、急に暗くなったと感じた。
上を見ると、黒い何かが、広がって向かって来ている!。
結界を広げ、先に一撃こちらから仕掛ける。
「エン!」
手から火柱を出して攻撃するが、効いてないかのように向かってくる!。
「セン!」
次に衝撃破をぶつける。
穴が空き、空が見えたと思ったら修復し、何も無かったかの様に迫ってくる!。
俺は、避けきれないと判断し、結界をさらに強化して衝撃に備えた。
黒い物体は、結界に阻まれ、こちらまで来ない。
よく見ると、小さい生き物が、羽をばたつかせていた。
かなり小型の蝙だ。
それが、物凄い集団で襲ってきたのだった。
気付けば、結界が少し小さくなっている気がした。
まさかと思い、蝙を見ると、口からこちらの結界の魔力を奪っている!。
こんなものが、大量に街へ向かったとなると、急がなくてはならない。
結界を維持したまま、攻撃をかける。
「ライ!」
全身から、拡散し広範囲に雷で一斉攻撃をする。
攻撃を受けた蝙達は消滅していく。
魔法生物。
しかも、自然発生でない人為的に生み出されたものだろう。
街を見ると、幾つかの黒い塊が、ゆっくりと移動しているように見える。
近くの、蝙の群れまで移動した。

「サンディ、ウインディ」二匹の精獣を出現させて、蝙の動きに備える。
風の精獣で、蝙を空に巻き上げ、雷の精獣で仕留める。
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