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□「過去喰」
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何故、人間の重大な三代欲求の一つを満たす「食事」を当番制にしてしまったのかを、そこに居た誰もが問いたくなった瞬間だった。



*****



「えーと、本日の食事当番は坂田殿であるそうです」



攘夷志士が隠れ潜むために置かれた拠点の自室。
ゴロゴロと束の間の休息をとっていた銀時に、最近この攘夷に参加し始めたばかりの、"平賀三郎"と言う男が報告をした。

確か機械を扱う、高杉の部下だったか。



「その"坂田殿"ってやめない?"銀時"で良いよ。」


顔を奴の方へ向け、怪訝そうな表情を向ける。


「し・・・しかし、攘夷志士を束ねる御方を呼び捨てなど・・・」


やはりこいつもその肩書きを言うのか、と少し消沈しながら銀時は重い体を起こし、目の前の机に上半身をダラリと置いた。




「テメェ早く飯作れっつーんだよ」


うなだれていると、平賀が居る障子の方から毒を吐く奴の声が聞こえた。

平賀の上司である、鬼兵隊隊長の高杉晋助だ。


「たっ、高杉隊長!!」


直ぐ隣まで来ていた事に気付かなかったのか、平賀は今までに無い程の声を上げた。

やはり上司と言っても、片や隊長・自分は新人なのだ、接点は無しに等しいのだろう。

その表情には憧れにも似たものを浮かべている。



「・・・あぁ、そうえば平賀が来たのって当番知らせる為だったっけ」


高杉の一言が無ければ忘れているところだったが、最初の目的は報告だったのだ。
銀時が思い出したように言うと、平賀は焦るように
「で、ではよろしくお願いします!」
と頭を下げ、高杉の居る方と逆の方向へ走り去っていった。


平賀が去った後、高杉は障子にもたれながら、
「・・・あいつ、向こうには廁しかねぇじゃねぇか」

さらりとボケをかました。


憧れの上司がこんな事を言っている姿を奴に見せてやりたいと、銀時は吹き出し、笑いながら思った。



「・・・?まぁ良い。それよか銀時、お前料理なんざ出来ねぇだろ」


ニヤリと口角を上げながら、高杉はこちらへ話題を移した。

笑っていた銀時の表情が一瞬ピクリと動く。


「やだなぁ高杉君!美食家の俺になんて事言っちゃってるのかな?作れるに決まってるだろう!」


言った銀時に高杉は
「あ・そ。じゃぁ今日は俺夕飯食わねぇから」
と捨て台詞を置いて、銀時の部屋から去っていった。


それを聞いた銀時は、高杉に絶対食わせてやる!と意気込み調理場へと向かって行った。




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