嗚呼、駄文
□¶軍主の恋愛前線¶
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もう日も沈み、辺りは暗くなっていた。甲板にいるキカはジッと海を見つめ、ラスが来るのを待っていた。
そして、ようやくラスが後ろから駆け寄ってきた。
「遅くなってごめん。待ったかい?」
「いや、然程待ってはいない。お前が来るまで、海を眺めていたのでな。」
「そっか。」
「それにしても、何の用事だったんだ?」
「うん、実はね、これ作ってもらってたんだ。」
ラスはポケットから何かを取り出した。それは、中央に真珠一つと、その横に黒蝶貝を添えたシンプルなパールネックレスだった。
「それは………」
「今日交易所で買った真珠と、今日手に入れた黒蝶貝で作ってもらったんだ。………これを、キカにあげようと思って。」
「私にか?」
「うん。ちょっとジッとしてて。」
ラスはパールネックレスを、キカの首に付けた。
「やっぱり僕の判断は正しかったな。よく似合ってるよ、キカ。」
キカは自分に付けられたパールネックレスを見て、一瞬驚いた顔をし、すぐに嬉しそうな表情になった。
「……有難う、ラス。」
「どういたしまして。さ、ここは冷えるから、中に入ろう。」
「ああ。」
二人はそのまま一緒に中に入っていった。
それを一部始終見ていた海賊二人のうち、一人は泣き崩れ、もう一人はそれを慰めていたそうな。
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