嗚呼、駄文
□‡地神の騎士‡
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─…やはりあれはアルテナ様だったのだろうか…─
夜も更けたミーズ城の自室で、フィンは椅子に座っていた。
キュアン亡き今、ゲイボルグを今この世で扱えるのは、地神ノウ~ァの聖恨を持つアルテナだけだ。あの竜騎士がアルテナなのはまず間違いない。
だが、彼の頭から離れなかったのは、その彼女の悲しげな眼差しだった。
─…知らなかったとはいえ、アルテナ様を今まで敵国に身を置かせていたなんて……─
フィンは自分の愚かさを呪った。この十七年間、知らなかった自分が腹立だしい。あの時のアルテナの眼差しが、まるで自分を責めているように見えてしまう。
─…知っていたのなら真っ先に助けに行っていたというのに……!!─
バンッッ!!
フィンがテーブルを力の限り叩いた。その時………。
コンコンッ。
「フィン?いる?入ってもいいかな?」
ドアのノックの音の後に声がした。その声は、現在のフィンの主君、リーフの声だった。
「…あ、はい。入ってもよろしいですよ、リーフ様。」
そう答えた後、リーフがドアを開けて入ってきた。
「明日はトラキアとも戦うことになるから、ちょっと眠れなくてさ。フィンのとこに来たんだ。」
「眠れないのはよく分かりますが、あまり夜更かしすると明日に影響しますよ。」
「大丈夫だよ。眠くなった時にちゃんと寝るからさ。」
リーフはやんちゃな少年のように、ニッと笑いながら言った。
フィンはそんなリーフを見ながら、アルテナの事をリーフに話した方がいいだろうと思った。リーフは姉が生きているとは知らない。実の弟であるリーフなら、アルテナを救うことができるだろう、と……。
「リーフ様、折いって重大な話があります。」
椅子から立ち上がり、真剣な顔つきでリーフに言った。
「ん?何だい?」
そしてフィンは話し始めた………。
「実は……。」