*灰かぶり*

□灰かぶり
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「ククルッ、ククルッ、見てごらん、

靴に血がたまってる。

靴が小さすぎるのさ、

本当の花嫁はまだ家の中!」

 王子はかがんで、靴を見ました。すると、血が噴出していました。
王子はだまされたことに気付き、偽の花嫁を家に帰しました。けれども、お母さんは2番目の娘に言いました。
「おまえが靴をためしてごらん。もし小さすぎるようだったら、爪先の方を切った方がいいね」
そこで2番目の娘は靴を持って自分の部屋へ行きました。足が大きすぎると、娘は歯を食いしばって
爪先を大きく切り取り、大急ぎで足を靴に押し込みました。
そうやって娘が進み出ると、王子は、この人が自分の本当の花嫁だと思い、一緒に馬車で城に向いました。
ところが門のところに来ると、鳩達がまた言いました。

「ククルッ、ククルッ、見てごらん、

靴に血がたまってる。

靴が小さすぎるのさ、

本当の花嫁はまだ家の中!」

 王子は下を見ました。すると、花嫁の白い靴下が赤く染まって、血が上の方まで上がってきていました。
そこで王子は、2番目の娘もお母さんのところへ連れて行き、言いました。
「この人も本当の花嫁ではありません。でも、この家にもうひとり娘さんはいませんか」「いいえ」
お母さんは言いました。「ただ、汚らしい灰かぶりが、まだいるにはいますが、いつも灰の中にいる子で、
靴が合うわけありません」お母さんは灰かぶりを、呼んでこさせようともしませんでしたが、どうしても、と王子が言いました。
そこで灰かぶりが呼ばれました。灰かぶりは、王子が来ていると聞くと、大急ぎで顔と手をきれいにさっぱりと洗いました。
灰かぶりが居間に入り、お辞儀をすると、王子は灰かぶりに金の靴を渡して、
「さあ、ためしてごらん。もしこの靴が合えば、君は私の妻になるのだ」と言いました。
そこで、灰かぶりは左足の重い靴を脱ぎ、金の靴の上に左足をのせ、ほんの少し押し込みました。
すると靴は、灰かぶりの足にぴったりと合いました。
そして灰かぶりが体を起こすと、王子は灰かぶりの顔を見つめ、あの美しい姫であることに気付き、言いました。
「これが本当の花嫁です」継母とふたりの高慢な姉さんたちはびっくりして青ざめました。
けれども、王子は灰かぶりを連れて行き、馬車に乗せました。そして、馬車が門を通るとき、鳩達は言いました。

「ククルッ、ククルッ、見てごらん、

靴に血がたまっていない。

靴が小さすぎない、

本当の花嫁を、王子が連れて帰る!」
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