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□キヲク
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待って お願い
忘れてしまう 傷つけなければ
もっと もっと もっと
許してなんて言わない 助けてなんて言わない
あなたを思い出すためだけに
もろい心に刃を向ける
傷ついて 傷だらけになって
あなたを思い出せる
そうしなければ 忘れてしまうから
キヲク・・・――
意思に反して 零れ落ちていく
日常に 埋もれていては
忘れた事さえ 忘れて
日常に埋もれてしまうから
だから 覚えているうちに
少しでも忘れないために
傷でいっぱいにして あなたを思い出すから
私を許さないで 決して
もう 朧になったあなたの顔
足りないと 傷つけても
あなたはどんどん 朧になる
いや 忘れたくない
あなたを あなたと過ごした日々を
まだ私が幼くて 何も考えずに笑えていた頃を
忘れたくない 忘れたくない
お願い
私は
あなたを
これ以上
忘れたくないよ・・・