他ジャンル作品T

□depth
1ページ/3ページ

只、唯一と。


貴方への歪んだ想いが、心臓ココロを銜えて離さない。

荒んだ心臓ココロに銃口向けて。
卑しいこの身を撃ち抜いて。



depth




「三蔵…」

気怠そうに、ベッドの上から半身を起き上がらせた悟空が
端に座って煙草を吸う三蔵の背中に声をかける。
少し面倒臭そうに、視線だけこちらに向けた三蔵が
煙草の灰を灰皿に移すのが見えた。

「…何だよ、サル」

言い方は乱暴だけど、何処か穏やかな…優しさを裏に
隠した様な台詞。
彼の青い瞳に、自分が映っているのが見えて。

「…俺と…さ、あんまこういう事、しない方がいいんじゃねーの…?」

「…あぁ?何言い出しやがんだ、お前」

明らかに不満そうに、眉間に皺を寄せた三蔵に悟空が一瞬、怯む。

「したくねーのかよ、俺と」

問われて、戸惑う。

「…っ、そー言う訳じゃねーけど…、坊さんって、こーいう事しちゃ
いけないんじゃねーのっ!?」

張り上げた声が、上擦って僅かに震える。
気に入らないと言いたげな三蔵が、まだ半分以上残ってた
煙草を灰皿に押しつけて悟空を押し倒す様にのしかかった。

「今更…」

クッと笑った彼の皮肉さを湛えた笑顔が、やけに瞳に焼き付く。

「テメェ、俺と何回ヤったと思ってんだ?そういう事は初めに聞けよ」

無理矢理に唇を塞がれて、口内を貪られる。
合わさった唇から、苦い煙草の味がして思わず身を捩った。

…けど、許されなくて。

顎を掴まれ、固定されて。
更に深く口づけられた。

息が苦しくて、苦しくて。

ようやく離された唇からは、唾液が糸の様に尾を引く。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ