ワンピ長編夢V
□魔の海に浮かぶ幽霊島
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ルフィ達の新海賊船。
サウザンドサニー号は、快適過ぎる航海を順調に進んでいた。
次の島は魚人島。
ログポースの導きのもと、その進路を進む。
ザザ―…
ざぼッ…!!
「釣れた〜〜!」
「カッチョイイ鮫釣ったぞ――ッ!!」
「入れろ!入れろ!」
「生け簀に入れろ!」
甲板では。
ルフィとウソップが釣りを楽しんでいた。
釣っては生け簀に入れる、それを繰り返す。
生け簀とは。
船内三階のアクアリウムバーにある生け簀水族館の事だ。それを見ながら酒を飲んだり、また食料保存にも役立つ優れ物。
ダダ…!
「よし!見に行こう!」
「水槽で見よう!」
ルフィ達は。
急いで三階に向かう。
扉を開け、今まで釣った獲物を見に行く事に。
「お―い!!
鮫入って来たか!?
凄ぇ角生えたやつ!!」
「!―…ええ。
入って来たけど。今まで釣ったお魚は皆居なくなっちゃったわよ?」
「ギャ―――!!」
「共存ってもんを考えろ!当たり前の事だろうが!」
部屋にいたロビンとサンジがそう言うと、ルフィ達はがっかりする。
鮫を入れては仕方ない。
「ちきしょ―!
こいつ!今日の晩飯にしてやる!サンジ、丸焼きだ!こんなアホ鮫は!」
「待て、素人め…。
せっかく新鮮な魚だ。
寿司か…湯ざらしにして、辛い酢味噌でいくのもいい。天ぷらもオツだな。」
「んまほ――!
腹減って来た〜〜!
じゃあ!おやつに食おうぜ!」
「夜まで待て!」
素晴らしい生け簀。
それを眺めながら、話に花を咲かせる。
部屋の奥にあるソファーに座っているフランキーは、それを満足そうに見つめていた。
と。
再び扉が開く。
がちゃ…
「!」
「おお、ティアラ!」
「…?」
「聞いてくれよ。
あの生け簀の鮫がよ〜、おれの釣った魚食っちまったんだ!」
「生け簀…。
わぁ…凄く大きい水槽。」
「そういえば。
ティアラはここへ来たの初めてね。もう気分は大丈夫?」
「うん…平気。」
「ティアラ!
見ろよ!あの鮫だ、ほら!あいつ!」
「!…」
出航して数日。
実は、しばらく寝ていたティアラ。きちんと睡眠を取っていないと駄目だと、リィからお叱りを受け、数日たっぷりと睡眠を取っていたのだ。
ふらっとしているティアラを、水槽の目の前まで連れて行くルフィ。
「なぁ!
凄ぇだろ!あの鮫。角生えてて格好良いんだけどよ、おれは今日の晩飯に決めたんだ!」
「…食べるの?」
「当たり前だ!
他の魚食っちまったこいつが悪い!」
「お腹…空いてたんじゃない?」
「それでも駄目だ!」
「…そう。」
まだ。
どこか眠そうに見えるティアラ。目を擦り、欠伸を一つ。
座っていたフランキーが、ティアラに話をふる。
「ティアラ!」
「!…」
「船内は見たか?」
「…まだ。」
「んな事だと思ったぜ!
お前だけだぞ!」
「うん。…これから船の中を散歩する。」
「よし!
いいだろう!俺が案内してやる!」
「いい。」
ち―…ん
「俺が案内…」
「いらない。」
「案内…」
「いらない。」
「……」
「いらない…」
バタン…
フランキーの誘いを拒否しながら、ティアラは部屋を出て行く。
少しの沈黙後。
我慢出来ずフランキーが叫び出した。
むき―!
「何なんだ、あれ!
人の親切を無駄にしやがってぇ!スーパーに失礼な女だッ!!」
「まぁ―まぁ―。」
「ティアラだから。」
「フランキー。
ティアラの寝起きはあんなもんだぞ。たくさん寝たから余計だ。」
「低血圧か!!」
傷ついたのだろう。
あんなに何度も断り続けられたら、変態だって気にする。
お怒りなフランキーを、やんわり宥めるルフィ達。
何とか怒りは治まったが、まだ納得出来ない。
拒否られたのはいい。
本当は、まだ船内を散策していない事が気になっているのだ。
「いや、でもよ。
あんなに寝る奴がいるとはな。三日は寝てたぞ、ティアラ。いつもあんなに寝るのか?」
「たまにね。
ティアラは睡眠で回復を補っているの。」
「それなら俺等と変わんねぇだろ。毎日寝ればいい事じゃねぇか?」
「時間の問題よ。
私達の睡眠時間より倍は必要なの。」
「妙な体質だな。
あいつの一族は全員が睡眠不足なのかよ。」
「ティアラだけよ。
巨大な力を抑制するには…必要な事だから。」
「巫女だけ…か。
ふ―…ん。色んな事情抱えてるんだな。」
「―…」
ロビンに話され。
怒りは消えたフランキー。ティアラが寝ている間に、ある程度の取り扱い説明は聞かされていたのだが、まだ納得出来ない事もある様だ。
回復を終えたティアラは、寝過ごした時間を取り戻すかの様に、船内を歩き回っていた。
「―……」
《…広い船内。
部屋もキッチンも…》
一階、二階と。
適当に見て回り外へと出る。すると、潮の匂いに混ざり石鹸の香りがティアラの鼻を掠めた。
香りがする方へ足を向けると、風呂上がりのナミを見つける。
「は―…いいお湯でした!あ、ティアラ。」
「良い香り。」
「ティアラも入る?
まだお湯温かいわよ。お湯に浸かれば眠気も少しは吹き飛ぶわ。」
「……私、まだ眠そうに見える…?」
「見えるわ。」
「―…」
「あんたも入って来たら。波に揺られて大浴場何て最ッッ高♪」
「最高…」
「ほら、ほら!
タオルと着替えは持って来てあげるから。ゆっくり疲れ取りなさい。」
「…」
大浴場へ行く事を勧め、ナミは今しがた出て来た場所へティアラを押し込む。
中へ入り、目に飛び込んで来たのは沢山の本棚。
壁一面に並ぶ本棚に、圧巻される。
「ここは測量室よ。
大浴場はこの梯子を登ったらあるわ。」
「凄い本棚…」
「!…ふふ。
見てみて。奥にあるのが私の測量机!フランキーに感謝ね!」
「感謝、感謝。」
「じゃあ。
私は部屋に戻るわね。着替えとタオル、後で持って行くわ。」
「ありがと。」
そう言うと。
ナミは女部屋へと戻って行った。ティアラは本棚を眺めた後、教えられた梯子を登り、大浴場へ。