ワンピ長編夢U

□巫女と仲間と友の別れ
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アラバスタ。
アルバーナ宮殿。
夜の闇が深くなった頃、海賊達だけは起きていた。





「今夜!?」
「今からかぁ!?」

「そう。」

「ここ出るのか…」
「ま。俺も妥当だと思うぜ…もう長居する理由はねぇからな。」

「そうだな。
海軍の動きも気になる。」




入浴後。
ルフィ達は自分達が寝泊りしていた一室で、アラバスタ脱出の話し合い。

アラバスタでの用事はすべて終えたルフィ達。
海賊の彼らには、ゾロの言う通り、長居する理由がない。
旅立ちの話し合いをするルフィ達を、複雑な顔をしながらビビは見ていた。




「あん?そういや……ティアラは?」
「あれ?本当だ…ティアラいねぇな。」


ルフィとウソップが部屋を見渡す。



「ティアラならあの部屋に行ったわよ。」

「??」

「あの部屋かぁ…。」
「あぁ…!」
「そうかぁ。」
「なるほどな。」



見兼ねたナミがそう言う。ルフィ以外は納得。



「あの部屋ってなんだ?またどっか行ったのか、ティアラは。」


「あんたねぇ…さっき話してあげたでしょ!」

「このクソゴム!!
ティアラちゃんは最後の別れを言いに、お母様のところへ行ったんだよッ!」



呆れたナミとサンジのその言葉で、ようやく納得したルフィ。
そのやり取りに冷ややかな視線を送っているゾロとウソップ。

するとビビが呟いた。







「最後…だもんね。」

「!」
「え?」


「ティアラさん……
あと少しだけだもんね…お母さんの絵を見れるの。」

「ビビ…」
「…」
「…そうだな。」





ビビの様子がおかしいことに気付いたルフィ達。

何気に呟いた言葉。
それは裏を帰せば、“みんなと居られるのはあと少しだけ”…という意味。

ビビの不安や迷いが籠められた一言。





「そ、そうだ!
ビビ!俺と一緒にティアラを迎えに行こう?」

「え…?でも…」


「そうしよう!ほらほら、行くぞ!」

「え!あ、トニー君!」




戸惑うビビを強引に引っ張り、部屋から引きずりだしたチョッパー。

それをやや口元を引きつりながらも、暖かく見守る仲間達。




「…なんてワザとらしい。チョッパー…。」

「言うな。」

「そうだぜ、ウソップ。
あれがチョッパーの精一杯の元気づけだ。」



チョッパーの気の利かせた行動をやんわりと駄目出しする男前達。
それを冷たい目で睨む素敵なナミ姉さん。




「でも俺はそのチョッパーよりも駄目な野郎を知ってるぜ、ウソップ。」

「何ッ!?」
「?」



にやにやと“駄目な野郎”に視線を送るサンジ。それを辿ったウソップの目に映ったのは…。



「……おい…。
何で俺を見てやがる、エロコック……!!」


「駄目男。」
「へぇ〜…。」
「そうなのか。」


「てめぇ等!?何納得してんだよ!!ブッた斬るぞ、コラァ!?」



“ぷぷ”っと笑うナミ達に刀を向けるゾロ。
サンジはにやにやとそれを見て満足気。

それを機会に各々出発に向け準備を始めた。
ゾロだけは準備をしながらもサンジに絡む。




「てめぇ…覚えてろ!」
「事実だろ。」


「どこが!!」
「いや、見たまんま。」


「殺す!?」




ゾロはリュックに詰め込む筈の荷物をサンジに本気でぶつけた。
それを合図に二人は取っ組み合いを開始する。

数分後。
ナミに鉄拳を貰い、お揃いのコブを頭に飾ることになったのだった。
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