ワンピ長編夢V
□仲間の死と壊滅の危機
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「いや。驚いた…
飛ぶんだもんな。あそこから〜…。」
造船所に到着したルフィ達だったが、着いて早々に造船所の職人の荒技を見てヒヤヒヤさせられていた。
高台から飛び降りたカク。彼はメリー号の査定へ行ったところだ。
「ンマー!
ウチの職人達をナメて貰っちゃ困る。より速く、より頑丈な船を迅速に作り上げる為には……並の身体能力では間に合わねぇ。」
「へぇ―。」
「誰…?」
そう説明した男。
ルフィ達を眺め、隣に控えている部下らしき女に話をする。
「…ところで…
おい、カリファ…」
「ええ。調査済みです。」
何かを問われ、それに素早く答える女。
「“麦わらのルフィ”
“海賊狩りのゾロ”
“ニコ・ロビン”
三人の賞金首を有し、総合賞金額、二億三千九百万ベリー。結成は東の海。現在八人組の“麦わらの一味”です。」
「も…、ものすげぇバレてるぞ…。」
「……………」
「その中に一人。
重要参考人が存在します。“破滅の巫女・ティアラ”。賞金首ですが、賞金額は限度無しの希望額。これを換算すると、この一味の総合賞金額は未知数となります。」
「……」
「ぎょえ〜…!」
カリファと呼ばれた女。
聞かれた質問を詳しく説明する。詳し過ぎる内容に、ウソップは動揺。
「そうか。よく来た。
俺はこの都市のボス!
アイスバーグ。そしてこのネズミはさっき拾った。名前は…そうだな…」
「アイスバーグ?」
「市長ッ!」
「名前は“ティラノサウルス”。餌とカゴを用意せねば。」
「手配済みです!」
「ンマー!流石だな。」
「恐れ入ります!」
胸ポケットにネズミを入れたこの男。この男こそ、ルフィ達が探していた人物。アイスバーグ本人だった様だ。
突然の登場と紹介にも驚かず、その様子を見ているルフィ達。
「それより。
十分後にチザのホテルでグラス工場の幹部と会食。
その後、リグリア広場での講演会。終わりましたら―……」
アイスバーグの予定をテキパキと伝えるカリファ。
どうやら秘書の様だ。
「―……それで。
最後に本社に戻り、書類に少々お目通しをお願い致します。」
「いやだ!」
「では全てキャンセルします。」
「おい!
いいのかそれでッ!!」
「こんな事が出来る程の権力者だ。俺は。」
全ての予定を全否定したアイスバーグ市長。
それに一切文句も言わず、速やかに対処するカリファ。何とも勝手が過ぎる市長だ。
「市長失格じゃねぇか。完全に。」
「我儘な奴だな―。
でもコレ。あのバーさんの言ってたアレじゃねぇか?」
「ええ。そうみたい。そのアレよ。」
「無礼者ッ!!」
ビュビュ!
ビュビュビュ!
「うわわわ!」
「!!」
突然。
カリファがルフィ達を蹴ろうとする。
「何すんだ!お前!」
「びっくりした…」
「……!」
「世界屈指の造船技術者に向かって、アレだのコレだの何ですかッ!!」
あまりのルフィ達の無礼な言葉遣いが、秘書のカリファの気に障った様だ。
「はッ!失礼。つい取り乱してしまいました。
ですが。アイスバーグさんは市民の憧れ。あまり無礼のない様に!」
「…悪かった。」
「そうね…」
「カリファをあまり怒らせるなよ。この女は怒ると………見境がない。」
ボロ……
「そっちにだいぶ蹴り入ってんなッ!」
「お前ぇが無礼だよ。」
カリファの見境のない蹴りは、ルフィ達よりもアイスバーグにヒットしていた事に驚く一同。
ともかく。
探していたアイスバーグと運良く出会え、一安心なルフィ達。
「でも。
ともかくあなたがアイスバーグさんね!」
「そうだ。」
「これを見て。私達、紹介状があるの!」
「紹介状?誰から?」
ナミはココロから貰ったそれを、アイスバーグへと渡した。
「ココロバーさんか。
“ふねみてやんなよ”………」
びり!びり!!
「ああ!」
「破いた―ッ!!」
目を通したアイスバーグは、それをびりびりに破り捨てた。
「ねぇお願い!船直して!お金なら払えるのよ!」
「もう航海でボロボロなんだ、メリー号は!頼む、おっさんッ!」
「いいよ。」
「軽ッ!いいのかよッ!!じゃ、何で破くんだ!」
「キスマークが不快だった。ココロバーさんとは昔からの飲み仲間でよ……」
破かれたのを見て、船の修理を断られたと思ったルフィ達。
どうやら。
船はしっかりと見てくれる様だ。
「ンマー!
とはいえ。すでにカクが船を査定に行ってんだ。話は進んでる。」
「そうか!」
「よかった―…」
「どうせ今日は退屈な日だ。工場を案内しようか。」
「仕事をキャンセルした男の態度か。」
カクが戻って来る間。
造船所内を案内してくれるというアイスバーグ。
ルフィ達は、せっかくなのでそれを受ける事にした。