ワンピ長編夢V

□叶えたい願い
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   ゴオォ…



「一階のいくつかの部屋から直に火の手が上がる。まぁ…犯人は海賊なんだ。そんな事もあるだろう。」

「お前等……!」
「………」


「人の仮面を被って好き放題なんて趣味悪いわね!!」

「元々汚れた仮面に不都合もなかろう。」


「何だとッ!!」
「失礼ね!」
「……」





寝室に。
今回の事件の真相を知る者達が集結する。
全ては世界政府の差し金。殺しを正義と掲げるCP9の計画だと分かる。

最大の疑問は一つ。
ロビンは敵か味方か。





「じゃ。私は先に。」
「ああ。」


「待て!ロビンッ!!おれは認めねぇぞ!」

「さようなら…」


「ロビン!!」
「!」

「またどこへ行くんだよ!やっと見つけたのに!」





ロビンは、ルフィ達の前から消えようとする。
制止の声も聞かず、ロビンは出入り口を目指す。

それを急いでルフィは追うが、ブルーノに阻まれる。





   ザ……!


「どけ!お前ッ!」
「“鉄塊”」


   ガン!!


「……」
「!?」

「何でこいつ等こんなに体硬ぇんだ!?」


「鍛え上げた我らの肉体は“鉄の甲殼”にまで高度を高められる。」





ルフィがてこずる理由。
彼等が不思議な体術を身につけているから。

攻撃は当たっても効かず、さらに。





  ビュビュ…!

「どけって言ってんだ!!うおおぉッ!」

「“紙絵”」


  ヒラリ…
   ヒラ…ヒラリ…


「受けるばかりが能じゃなく…」

「うわ!全然当たらねぇ!あんなデカイのに!」

「まるで紙みたいにヒラヒラと……!」





防御は完璧。
受けるも避けるも、隙もない動きには無駄もない。

その間にも。
ロビンの歩みは進む。
苦戦するルフィを見て、堪らずティアラが飛び出した。





    ダ…

「ロビン!」

「ティアラ!駄目…」
「ティアラッ!!」


   シュン…!


「神の民…ゼウス一族。
その正統な血統とは言い難い現巫女・ティアラ。」

「!!?」
「ティアラッ!」


「我々の任務に…敢えて障害があるとすれば、今ここにお前が居る事だ。」

「…速い…!?」
「危ないッ!!」
「ティアラッ!」


「“指銃”」
「!!」





   ズキュン!

飛び出たティアラを待ち構えていたのは、ルッチ。ティアラの前方に瞬時に入り込み、狙い撃つ。

ティアラを撃ち抜いた、そう確信したルッチの指先に痛みが走る。危険を察知し、ティアラから距離をとるルッチ。





   ゴオォ…


「ティアラ!」
「ああッ!」
「あれは…!」


「…………!」
『愚か者共めが…!』

「「リィッ!」」
「あ…」
「リィ!」


「!!」
「あれが…!」

「巫女を護る守護獣…“白き光の龍”…!」





ルッチの攻撃の刹那。
リィは刻印から喚び出され、ルッチの手に噛み付いたのだ。

噛まれた傷から流れる血を拭き取り、ルッチはティアラ達に向き合った。





『たかが政府の人間ごとき…我が主であるティアラに対する狼藉は死。』

「……」


『誰であろうと許さん…!身を弁えッ!!』

「リィ…」
「やれ!やれ!」
「……!」


「………」

「面倒だな。」
「ええ。」





リィはルッチ達を睨みきかす。猛々しいその気迫に身を震わす事もなく、ルッチ達は見返す。

だが。
ルッチ達の立場上、ティアラが厄介な事は確か。





   ゴオォ…

「手は出さん…。」

「…」
『何…』


「正確には“出せない”と言うべきか。我々が正義の意志を曲げる事は許されない。政府の命令は絶対だからな。」

「……へぇ……」
『生意気な。』


「しかし。
我々にはお前達に時間をかけている暇はない。悪いが素早い任務遂行のため、巫女には“この場から直ちに消えてもらう”。」

「…!!」
『!』

「何するつもりだッ!」
「ティアラッ!」
「何…!?」



   ザ……



「言葉通りだ…!」

「…!?」
『ティアラ!』

「ティアラ!避けろッ!相手にするな!」





ルッチの牙が、突然ティアラに襲い掛かる。
ゾロもルフィが走るが、カク達に邪魔されてしまい助けに行けない。






  ガキ―…ンッ!!

「…ぐ…ッ!!」
「!」

「ティアラッ!!」
「ああッ!!」



   ドカンッ!



「…ッ………!!」
「ティアラ!」

「………剣……!?
成程…それが噂に聞く“巫女が持つ剣”…」





ルッチの指銃を、ティアラはぎりぎりで受け止めた。リィは刀身に姿を変え、攻撃を全て吸収してくれたのだ。

それでも。
ルッチの力は強く、壁に押さえ付けられてしまう程。その圧に耐えられなかったティアラの体。






「…ごふッ……!!」

  ポタ…ポタ…


「ティアラ!」
「内臓が傷ついたんだ………!」

「何しやがるッ!!」
「野郎…ッ!」


「騒ぐな、海賊共。
政府側の我々がこの女を殺すわけないだろ。ま…辛うじて生きていればいいだろうがな。」

「ティアラを離せッ!!お前の相手はおれがやってやるッ!!」

「……ル…フィ…!」





吐血。
ティアラの鮮血に、ルフィ達の怒りが増す。

しかし。
ルフィ達の前には、カク達が立ち塞がる。これでは容易にティアラを助けにはいけない。それ所か、ロビンを追う事も出来ない。
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