ワンピ長編夢V

□突撃!司法の島!
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嵐の夜。
高潮アクア・ラグナが、ウォーターセブンを襲っている最中。

ルフィ達は。
とんでもない事を言い出した。それは、無謀にもこの荒れた海へ出る事。
世界政府の総攻撃の矢からルフィ達を守るために、自らの命を盾にしたロビンを救うために。

荒れ狂う海へ出航準備をするルフィ達。







  ゴゴオォォ…



「この倉庫も八年は放置されてる。海列車に至っちゃ十二年以上手付かずら。
もう動かねぇかも知れねぇな。んががが。」

「それじゃ困るぞ!」
「地下だ!」

「……」





   ギィィ…

ルフィ達の無謀な決意に、手を貸すと名乗り出たココロ。その案内で、海列車が放置されている倉庫にやって来た。

錆だらけの扉を開け、倉庫の中に入る。





   ドドド…


「早く行こうぜ!」
「早いよ、ルフィ。」


「錆臭い…」
『汚い倉庫だな。』

「ティアラ。足元気をつけろよ。」


「待ちらって、あんた達。正面の扉にも鍵がかかって……ん?何ら開いてるねぇ…。」





倉庫の中には、もう一つの扉が見える。
普段は鍵がしてあるのに、開いている事にココロが気付いた。

先に扉を開けたルフィ。
中に入ると目に飛び込んで来たのは、海列車。





   バン……!


「うお―!!あった!!
かっこいいぞ――!」

「おおぉ…!」
「…海列車。」
『ほぅ―…』


「言っとくが、まともなモンじゃねぇよ。こいつの名は“ロケットマン”。
とても客など乗せられねぇ暴走海列車ら。」

「暴走海列車!」
「…大丈夫かよ…」


「サメのヘッドは洒落でつけてあんらがね。」

「速そ―――ッ!!」
「すごーい。」
「ニャー!」





錆た倉庫の中。
そこに眠っていた海列車。名は、ロケットマン。
またの名を暴走海列車。

その名に相応しく。
列車の先頭には、キバ剥き出しな鮫の機関室車両がついている。
ルフィは大興奮。





   バタン…

「ん?」
「あれ!?」

「アイスのおっさん!」
「…!!」



   カツン
    カツン…



「麦わら…
よく無事だったな…。海賊娘の言った通りだ…。
巫女も一緒か。」

「市長さん…!」
『……』





すると。
海列車から、アイスバーグが降りて来たではないか。その手には整備道具が。





「アイスバーグ。
おめーここれ何してんらい……?」

「ココロさんが麦わらを連れて来たんだろ。
ここにいるって事は…あんたと同じ事を考えたのさ。バカは放っとけねぇ。」





アイスバーグも。
ココロ同様、ルフィ達の無謀な決意に手を貸す事を決めていたのだ。

先にここに来たのは、海列車を整備するため。





「使え。
整備は済んだ…。
水も石炭も積んで、今蒸気をためてる。」

「おっさん!準備しててくれたのか――!」


「喜ぶのは生きてられてからにしろ。これは失敗作だ。スピードを抑えられず暴走する……命の保障などできねぇ。」

「ああ!ありがとう。
アイスのおっさん!」

「ありがとう!」





海列車が走れる様に、力を貸してくれたアイスバーグ。それを知ったルフィは迷わず礼を言う。

ルフィ達は列車へと乗り込む。その時、踏み出したルフィに異変が。





   ふら……

「……おっと……」

「…ルフィ!」
『!』


「ルフィ大丈夫か!
さっきから足元ふらふらしてるぞ!」

「さっきの戦闘で血を流しすぎたんだろ。」


「あぁ…
ちょっと…うまく力が出ねぇ。肉でもあれば…」

「…ルフィ…」
『…飯か。』





ふらふらと。
膝をついたルフィ。
CP9にやられた時、血を流し過ぎたのが原因。

ふらふらなルフィに、ナイスタイミングで救世主がやって来た。






   ダダダ……

   ガラ
    ガラ…!



「ごめん!遅くなった!」

「ナミ。」
『航海士…!』



   ガラ
    ガラ…!



「ナミ!おい何やってんだ!お前!早く乗れ!バカヤロー!」

「わ!すごい。
これも海列車なの!」


「どこいってたんだ!
時間がねぇつったの誰だよ!その荷物何だ!」

「よいしょ。」





大きな荷物を持ったナミが合流する。
待たせられたルフィはご立腹。ナミを怒鳴るが、次の一言で態度は一辺。





「肉とお酒。」

「文句言ってごめんなさい!!!」



   ばくばく!
  もぐ!もぐ!!



「ティアラ。」
「ん?」

「あんたの分もあるから。少しだけ食べて。」
「私は…」


「あんたはこれ。」
「…?」


   パシ…!


「…あ…飴…」
『飴玉。』





肉と酒を貪る二人をよそに、ナミはティアラに可愛らしい飴玉を手渡す。





「アイスがなかったのよ。飴なら大丈夫でしょ。」

「…でも何で。」
『……』


「甘いものでも食べて、気持ち落ち着かせろって事。大丈夫よ。」

「!―…」


「ね?」

『…美味しそうな飴玉だ。なぁ…ティアラ。』

「…うん…!
ナミ…ありがと…!」





手の中にある飴玉。
その小さな飴玉には、大きな優しさが添えてある。

包みをとり、それを口の中に放り込むティアラ。
転がすたびに広がる甘さに、口元が緩む。

その様子を見たナミとリィは、顔を見合わせて一安心するのだった。
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