REBORN!
□【V.D】
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10代目に申し訳ないと思いながらも適当に6限目を屋上で潰し、チャイムと同時に教室へ戻ると、耳が割れそうなほどの黄色い声が教室を包んでいた。
あまりの騒々しさに自然と眉が寄せられ、何事かと10代目の机まで近づく。
「…10代目、何か今日あるんすか?」
「え?」
「放課後なって女子達がいきなり煩くなってるような気すんですよねー」
怪訝がる俺に、10代目は理解したかのようにポンと手を叩いた。
「あー、明日バレンタインだからだと思うよ」
「………バレンタイン?」
俺は初めて聞く言葉に戸惑った。
それは何かと聞こうとしたが、間が悪いことに10代目を呼び出す放送が入り、結局聞くことは出来なかった。
++
(そろそろ時間だ)
気だるげに机から顔を上げれば、教室の丸い時計は6時を指していて、確認したと同時にガラッと教室の扉が開く。
「悪ィな、待たせて!」
「バーカ。遅せぇんだよ…」
「そっかぁー」
何が楽しいんだか、うはは、とか笑いながら山本は近づいて来て、至極当たり前のように軽く俺の額に口付ける。
「ばッ//テメェは時と場所を考えろよな!」
「嫌だった?」
額を押さえる俺に、山本はからかう様にニヤリと顔を覗き込んでくる。
ここで、『嫌じゃない』とか言えばコイツは絶対自惚れるに決まっているから敢えて言わない。
しかし、誰かに見られたらどうするかとか、目の前の野球馬鹿は考えたことはないのだろうか。
「…………帰るッ」
ぐだぐだ考えている自分ごと苛々して来て、俺はきびすを返した。
「待てよ!」
慌てたように後ろから山本が追ってくる。
「そーいや、明日はバレンタインだなぁ」
追いついてきた山本は、俺の肩に手を置き楽しそうに話を振る。