REBORN!
□【V.D】
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「…だからバレンタインって何なんだよ?」
「イタリアにはねーの?」
「ねーから聞いてんだろーがッ」
山本は一瞬驚愕した表情をしたがすぐに説明をしだした。
「年に一度、好きな男にチョコあげる日だよ。基本は手作りだけどな!まぁ、男の一大イベントみたいなもんだ」
「フーン」
(だから女子が騒いでた訳だ…)
それにコイツもモテるし、沢山貰うんだろーな……チラリ、と隣で暢気に笑ってる山本を見て、自分の考えにヘコみ溜息を吐く。
そんな俺に気づかずに山本は、
「あっ、俺甘いモン好きなんだよなー…」
とか言い出した。
わざとらしく横目で見られたって誰がやるもんか、と反論してやろうかとも思ったが極力相手にしないことにする。
「…あそ」
「冷たいのなー。好きな子から手作りチョコ貰えれば幸せなのに…」
「テメーは魂胆見え見えなんだよ」
ケッと舌打ちをしてやる。
だが、奴は真剣な表情で。
「バレンタインを甘くみちゃいけないぜ?アイドルなんかファンからトラック3台分とか貰うんだからなー」
「へー、それなら10代目は飛行機単位で貰えるだろ!素敵だぜ、10代目…!!」
「それはないだろー」
苦笑する山本に腹が立ったが、10代目はモテるのだと信じているから何も言わないでおく。
「そんで、チョコくれんのか?」
「女子が騒いでたってことは女子の行事だろ?やんねーよ」
「チェッ」
ガクリと肩を落とす山本が気にかかったが、気づけばもう別れ道の曲がり角で、
「もっと一緒にいようよ」
「今日、ダイナマイト仕入れ日だから無理」
甘えるようにまとわりつく山本の腕を引きはがし、軽く頬にキスをしやった。
冷えきった頬から唇を離せば、驚きで固まる奴の表情が目に入る。
「…何、目見開いてんだよ。ばーかッ」
照れ隠しに悪態を吐き、俺は硬直する山本に背を向け走った。
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