REBORN!
□【ピーターパン症候群】
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また二人で見ようと約束した海は
以前来たときと変わらずに俺を迎えてくれた
波の音も空の高さも前来た時とまるで変わらない
なのに俺の隣にあいつがいない
それだけが以前と違っていた
【ピーターパン症候群】
「海行かないか?」
カラン、氷と氷がぶつかり合う涼やかな音色
グラスに注がれたサイダーが汗をかいていた
プクプクと炭酸が気泡を発する
サイダーもモノトーンで統一された部屋の窓から見える空も
印象は爽やかな青
部屋の白い壁が太陽の光に反射して眩しい
「んァ?やだ。ぜってぇ暑いもん」
「ばぁか。暑いから行くんだぜ」
ぬるい風が吹く窓を開け放ち、山本は
「最近、お前ん家に引きこもってばっかりだからな」
言って笑顔を俺に向けた
イタリア育ちの俺は初めて体験する日本の夏の暑さに正直参っていた
そんな俺に気遣うように山本は部活が終わり次第、
『ほっとくと獄寺って意外に不精だよな』
とか何だかんだ言って俺のマンションまで通ってくれた
生ぬるい風がクーラーの冷たい風をさらっていく
ぐだくだの体に鞭打ち、俺は一回だけ頷いた