REBORN!
□【ピーターパン症候群】
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「獄寺、今の段差痛くなかったか?」
いつからか特等席になった山本の自転車の後ろ
最初は慣れなくて、バランスがとれなかったり足を吊ったりしたけど、今やもうどんな高級車よりも価値があるように感じていた
段差があるとブレーキを踏んでくれたり、大丈夫か?とこと細かに気遣う山本の行動は紳士的で、
目眩がした
暑さの所為の目眩なのか
山本は今までに何人の女の子にそうやって優しくしたのだろう
経験したことのない山本へのこの気持ちに戸惑いを隠せないが、考えて分かるもんではないと悟り、いつも通りに接していたけど
どこまでも器の小さい自分が嫌だ
「…大丈夫だっつーの」
ブレーキの反動だと自分に言い訳して、ギュッと山本の背中にしがみついた
広い背中
鼻腔を擽る山本のにおい
「暑い…。」
「なら引っ付くなよ」
「……山本」
「ん?」
「…暑い」
「あぁ、…」
「暑い、な」
重なったTシャツが布を通り越し、直接山本の熱を伝える
だけどもっと近づきたくて
回した腕が触れた部分ですら熱を持った