REBORN!
□┣Traitor┫
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山本は力なくうなだれていて、その姿は今にも笑いだしそうにも泣きだしそうにも見えた。
「…山本」
自分の中の山本は、いつも笑っていて。阿呆面で強引で図々しくて。
こんな姿は見たくなかった。
山本という人物の知らない面なんて今更。
「……獄寺、お前に別れを告げられた後にな、リボーンにも言われたんだ」
そんな獄寺を気遣うように、張り付けたような笑みで山本は言葉続けていく。
「獄寺には関わるなって」
「…好きでいても良いだろって聞いたけど」
「お前はもうファミリーは必要ない」
「これ以上“ボンゴレ”に関わると…─消すしかないってな」
「好きでいるのもダメなんだぜ?お前が総てだった俺はどうすれば良いんだ……」
向けられた言葉は獄寺に対してではなく、自分に言っているようにも聞こえる。
悩み続けて来たのだろう。
表情からそれが伺えた。
「ゴメンな,山本…」
慰めの言葉もかけれず謝るしか出来ない獄寺。
そんな自分に、ただでさえ罪悪感で締め付けられる胸が余計苦しい。
最終的に山本ではなくツナを選んだのは自分。
離れがたかったのは山本と同じ。
言い訳くさいが、獄寺だって一日たりとも山本という人間を想わなかった日はない。
だけど、状況が違いすぎる。
(リボーンさんがそこまでしてたなんて…)
慰めるのは元より、今の獄寺には謝ることも接触する資格もないのではないだろうか。