□変わらないもの
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「バトルだったら別に外でも…」
「いいから!ハイ、上に行こうネ!!」
「???」

外に行きたそうなレイを無理やり上へと連れて行く。
そしてベイバトルの間、マックスは昨日の事を懸命に思い出していた。
どうして突然、レイが子供になってしまったのか。
しかし何度、思い出してもこれといった原因が思い浮かばない。
なんで、どうして原因が分からないの?
原因どころか解決策すら浮かばない。
このままではずっとレイは子供のままだ、そうなったら……


―――カシャン!


ドライガーに弾き飛ばされたドラシエルがスタジアムアウトした。
その音に思考を停止し、顔をあげる。
すると拗ねたように顔をしかめた小さなレイの姿が目に入る。

「レイ」
「さっきからなに考えてるの?」
「エ?」
「俺、全然楽しくない」

ずっとうわの空でバトル3回目だというのにマックスは3回とも負けてしまった。
だからだろう真剣に勝負してくれないマックスにレイは怒ってそっぽを向いた。

「sorry…もう一回、今度はちゃんとやるカラ!」
「……本当?」
「ホント!ホント!!」

両手を顔の前で合わせて、何度もお願いする。
レイは少し疑いの視線を向けるが嘘はいってないとわかったのかすぐに笑顔に戻った。

「じゃあ今度、負けたら罰ゲームな!」
「エ!!」
「いくぞ!3、2、1…」
「ちょ、ちょっと待って!!」

カウントを始めたレイに慌ててシューターをかまえる。
その後のバトル罰ゲームの効果なのか分からないがマックスはバトルに集中する事ができた。
数回のバトルの結果、結局マックスは負けてしまった。
やはり最初の3回の負けが大きかったようだ。
罰ゲームはマックスに決定したがその内容は喉が渇いたから何か飲みたいという小さなものだった。

「ハイ、どうぞ」
「いただきまーす!」

お茶とお菓子を目の前に置くと嬉しそうに手を伸ばした。
お茶を飲み、お菓子を摘むと口へと放り込む。
マックスはその様子を隣に座ってジッと見つめた。
小さい以外、見た目はレイそのものなのにやはりどこか自分の知っているレイとは違う。
かっこよくて優しくて、とても頼りになるけど時々イジワルで…
でも昔のレイはこんなにも無邪気で可愛くて、とても素直ないい子だったのか。
なんだかレイの意外な一面を見たようで得した気分だ。

「ねぇ、俺って誰かに似てるの?」
「何で?」
「だって、さっきからずっと俺の顔見てるし。それに…」
「それに?」
「なんか…泣きそうな顔してる」

意外な言葉に驚いた。
別に悲しい訳ではないのに自分はそんな顔をしていたのか。
そりゃあ確かにレイが急に子供になって混乱して、なんとか戻らないかと悩んではいるが悲しい事などなにもない。
むしろ自分が知らない子供のレイが見られて嬉しい方だ。
そう今、目の前にいるのは自分が知らないレイ。
……では、自分の知っている今までのレイはどこ?

「マックス!?」
「ヘ?あ、アレ、なんで…」

突然、頬をつたい落ちる涙。
慌てて目を擦り止めようとするが涙は次々と溢れだす。
レイはどうしたらいいのか分からずオロオロしている。
何度も何度も擦るが一向に涙は止まらない。
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