□優しいぬくもり
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「普段はバカみたいに騒がしいくせにこうゆう時は大人しくなるな」
「ムッ!ヒドイ、僕ちゃんと謝ってるのに!!」
「そうか」
「う〜、それにバカみたいになんて騒いでないネ!」
「騒いでるだろ。2人のバカと」
「2人?…もしかしてタカオと大地の事?」
「他にいるか」
「うわ〜、ヒドイネ。2人共ちょっと元気がいいだけなのにィ」
「ちょっとじゃなく『無駄に』な」

その言葉にマックスの表情が和らぎ、笑顔になる。
後でクスクスと笑う声が聞こえ、気まずかった雰囲気が一気に明るくなる。
いつもの調子に戻ったマックスに自然と心が落ち着いた。
別に慰めたくていったのではない、ただ……調子が狂うのだ。
落ち込んでいる姿を見ると何故か心がざわつき、落ち着かなくなる。
多分、騒がしいマックスを見慣れてしまったからかもしれない。
そんな事を考えていると嬉しそうなマックスがさらにしがみ付いてきた。

「おい。濡れてるんだ、あまり引っ付くな」
「もう濡れてるからヘーキ」
「冷たくないのか?」
「大丈夫ネ!」

髪も服も川に落ちたせいで全身ずぶ濡れ。
でも『ここ』はとても温かいから全然平気。
変だよね、濡れているのに温かいなんて。
それでもこれが自分の正直な感想。
そういえば昔、ダディにもおんぶしてもらった事があるなぁ。
あの時もとても温かくて自然と安らいだのを覚えている。
丁度、あの時と似ているけど……少し違う。
なんでだろ、相手がカイだから?
ダディよりも小さな背中、でも自分よりも大きな背中。
似ているようで似ていない不思議なぬくもり。
それでもハッキリと分かる事は…

「カイの背中、すっごく優しいネ」
「はぁ?」

いきなり妙な事をいいだしたマックスに間の抜けた声をあげた。
怪訝な表情で振り返ると瞳を閉じた穏やかな表情が目に入る。
冷たいはずの自分の背中でどうして、こうも安らいでいられるのか。
おまけに背中が優しいなどと訳がわからず首を傾げる。

「…熱でも出たか」
「出てないネ」
「じゃあ、頭を打ったかもしれないな」
「打ってないヨ。なんで、そんな事いうノ」
「お前が妙な事をいうからだ」
「妙な事じゃないネ。本当だモン!」

カイの言葉が勘に触ったのか頬を膨らませて拗ねてしまった。
機嫌が悪くなったマックスにまた、ため息がでる。
怒って笑ったかと思えば、今度は拗ねてしまうなど忙しい奴。
よくもこんなにコロコロ表情を変えられるものだ。
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