□会いたくて
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「え〜と、ここがこうだから・・・」

レイは今、自分のベイ・ドライガーの整備をしていた。
誰もいない小さな公園のベンチ。
ベンチの上にはドライガーの部品がいくつも置いてあった。
どこか不具合がないか。
壊れた部品がないか、一つ一つチェックしていた。

だから、気づかなかった。
後から近づいてくる存在に。
その者はゆっくりと背後から近づいてくる。
物音、足音すらたてないようにゆっくり、ゆっくりと。
レイとの距離が段々と縮まってくる。
あと一歩という所で相手は手をレイへと伸ばす。
そして・・・・・


ーーーグイッ!!


「痛っ!?」

頭の後に痛みが走る。
同時に顔が思いっきり上を向いた。

「ワーイ、大成功!!」

後から聞こえてきた声。
レイは顔を戻すと後を振り返る。
そこには自分の結んである髪を手に持ち、笑顔ではしゃぐマックスがいた。
どうやら結んである髪(しっぽ)を引っ張られたらしい。
しかも思いっきり・・・

「マックス!何するんだ!?」
「エヘへ、レイのシッポを引っ張ったノ。」
「引っ張るな!痛いだろ!」

レイが怒った口調で文句をいうが、マックスは全く悪びれた様子がない。
むしろ、悪戯が成功した子供の様にはしゃいでいた。

「だってレイの髪、長いから引っ張りたくなるんだモン。」
「俺の髪は紐じゃない!」
「そんなのわかってるヨ。けど・・・・・えい!」
「痛っ!マックス!!」

また髪を引っ張られる。
今度は大声でマックスの名を叫ぶレイ。
マックスはレイの髪から手を放すと笑いながら逃げてしまう。

「アハハハハ!」
「こらマックス!逃げるな!?」
「ヤーダよーん!」

逃げるマックスをレイは追いかける。
マックスは小さな公園の中を逃げまわった。
遊具の中を通ったり、隠れたりしてマックスはレイから逃れる。
レイにとっては障害物があろうともたいした問題ではない。
が、何故かいつもはすぐに捕まえられるのに今日はそうはいかなかった。
おまけに今日のマックスは何やらいつもより逃げ足が早いような気がする。

「待って!あっ!?」
「こっちだヨ、こっち!」
「マックス!」
「ワ-イ!鬼さんコチラー!!」

あきらかに自分で遊んでいる。
そう思えるマックスの態度にレイはついムキになって追いかけてしまう。
マックスはマックスで、いまだに笑いながら逃げまわっていた。
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