□変わらないもの
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「………」
「………」

これは何かの突然変異?
それとも何かの病気?
それとも非現実的な神様のいたずら?

ハッキリいって何が起こったのか理解できない。
だって普通、こんな事ありえない!
こんな……こんな……

「…レ、レイ…なの?」
「なんで俺の名前、知ってるんだ」

長い黒髪に琥珀の瞳はまぎれもなくレイなのだが…
声はいつも聞いているものよりも若干高め。
いつも見上げている顔はあきらかに低すぎる。
目の前のレイは自分の目線よりもあきらかに小さい。
いやむしろ目の前のレイは今…



―――(推定)6歳の子供だった。





「…どうしよう」

レイは不思議そうに辺りをキョロキョロと見渡している。
昨晩、レイはマックスの家に泊まった。
普通に夕食を食べ、普通にお風呂に入り、普通に眠りについた。
もちろんその時は普通で、いたって変わった事はなかったのだが…
今朝、起きてみたらレイはものの見事に小さくなっていた。
おまけに中身までも6歳に戻っているようだ。

「ここどこ?なんで俺ここにいるんだ?」
「そ、それは昨日キミが僕の家に泊まったからネ」
「泊まった?そういえば、あんた誰?」
「エ?あ、僕はマックス。キミの友達ネ」
「ともだち?」
「そう、キミと僕は友達なんダ」
「でも、マックスの方が年上だろ?なのに友達なのか」
「それはその〜…」

本当はキミが僕よりも上なんだといって信じてくれるだろうか。
正直、自分も今の状況が信じられない。
何故、こんな事になったのか原因すら分からないのだ。
どうしたらいいのか分からず、頭を深くかかえ込む。
するとジッと見ていたレイが小さく笑った。

「そっか、俺達って友達なんだ」
「信じてくれるノ?」
「だってマックスって嘘をつくような人に見えないし」

そういって無邪気に笑うレイにドキリとした。
普段はかっこいい、レイも今は自分よりも小さくてとても可愛らしい。
胸の奥がきゅん!として自然と母性本能がくすぐられる。

(小さい頃のレイってこんなに可愛かったんダ)
「なぁ、ここに居てもつまんないし外に行こう」
「ウン、そうだ……ッ!?」

今日は天気がいい、外に出れば間違いなくタカオ達に会う。
もしそうなったら、この状況(レイ)の事をどう説明しよう。
そこまで考えた瞬間、外に行こうとするレイの腕をとっさに掴んだ。

「ダメ!!」
「え?」
「あの、エ〜…ベイバトルしよう!!」
「バトル?」
「そう!上にスタジアムがあるから!!」
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