□優しいぬくもり
1ページ/3ページ

上を見あげれば、青々とした空が広がる。
太陽はサンサンと輝き、暖かな日差しがとても気持ちいい。

「今日は天気がいいネ!」
「…そうだな」
「でも、ちょっと暑いよネ」
「…あぁ」
「だから調度よかったかもしれないヨ!」
「………」
「ほら、カイだって涼しいでショ!」
「………」
「え〜っと、だから…ちょっとくらい濡れても平気ネ!!」
「………」
「…ご、ゴメンなさい」

カイのあまりの威圧的な沈黙にマックスは素直に謝った。
歩くたびにポタリと髪や服の先から雫が落ち、コンクリートに黒いシミを作る。
いつも着慣れた服がベッタリと肌に張り付いて気持ち悪い。
そう、今2人は大雨にでも降られたかのようにずぶ濡れ。
おまけに何故かマックスはカイにおんぶされていた。


それは遡ること数分前―――


とくに何かをするでもなくカイは河原を1人、歩いていた。
その時、川の隣を歩いていたのがいけなかったのかもしれない。
しばらくして後から足音が聞こえ、振り返ればマックスが嬉しそうに走ってくるのが見えた。

「カ―イ―!!」

近くまで来ると大声で名前を呼ぶ。
とくに返答はせず、カイはただその場で足を止めていた。
そして、すぐにマックスは目の前にまで寄ってきたのだが…

「good morningネ!!」
「っ!?」

走ってきた勢いのままマックスが突然、カイに飛びつくように抱きついた。
予想外の行動に対処する事が出来なかった為、体が後方へと倒れる。
ここで忘れてはならないのは、カイは川のすぐ傍にいたという事。
つまりカイの背にあるのは、ゆったりと穏やかに流れる冷たい川。
この後すぐに見事な水柱があがり小さな虹が見えたそうだ。



「まさか朝っぱらから水浴びをするはめになるとはな」
「sorry…ちょっと悪ふざけが過ぎましタ…」

おまけに川に落ちた時、マックスは足をくじいてしまい冒頭のような状態にいたるのであった。
足早にマックスの家へと向かうが行き交う人がちらほらと自分達に視線を向けてくる。
そのたびにマックスはカイへの申し訳なさに顔を俯かせた。
迷惑をかけたかった訳ではない、ただカイに会えたのが嬉しかった。
だから、ついはしゃぎ過ぎたと言うかなんというか。

「…カイ、ごめんネ」
「もういい」
「本当にごめんネ」

耳元近くで聞こえる小さな謝罪の声。
わかりやすいマックスの様子に溜息をつく。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ